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日本事業活動報告〜緊急事態宣言で打撃を受けた、社会的養護を巣立った若者の応援を行っています〜

こんにちは、かものはしプロジェクトの村田です。

本日は当団体の活動を応援して下さっている皆様に、現在行っている緊急支援について報告させていただきます。

皆さんは、ニュースなどで流れる新型コロナウイルスによって打撃を受けた方達の生活の様子の報道を見て、心を痛めたり、何かしたいと思ったことはないでしょうか?

新型コロナウイルスの影響を受けて生活困窮している若者達は、前回昨年の春に受けることが出来た「特別定額給付金」の支給や、様々な支援を今回は受けることができず、「前回より状況がひどい」という声も上がっています。

虐待などから逃れ、児童養護施設や里親家庭等で育ち、そこを出た後の10代後半~20代の若者達は、困った時に頼れる実家がなく、生活資金が入らなくなることで、食事を切り詰めなんとか凌ごうとしています。

食事を削らざるを得ず、食べられないことで体調を崩したり、心のバランスを崩して行ったりと、負のスパイラルに入りそうになっている人も出てきています。

そこで、今回の緊急事態宣言で影響を受ける児童養護施設や里親家庭出身の若者達に、緊急支援を期間限定で行うことにしました。

既に社会的養護を巣立った若者達へのサポートをなさってきた、一般社団法人Masterpiece(以下Masterpiece)の皆さんと協同プロジェクトを行い、当面を乗り越えるための現金給付と、必要な方には食料支援を行います。

公的な支援につながるまでの間の生活を守るためのサポートを行う予定です。

*対象は、2021年1月に発出されたの緊急事態宣言で影響を受けて減収した方です。

 

今回のプロジェクトを実施した背景

コロナ禍で国内外のあらゆる人々の生活に影響が生じている中、社会的養護(※)を経験した若者たちにも深刻な影響が出ています。

特に、経済的な困難さ、孤独さといった課題が顕著です。

社会的養護を経験をした多くの若者たちは、18歳になると、後ろ盾があまりない中で一人立ちが求められます。

そして、過去の傷、実親との関係や社会からの理解不足などの困難を抱えた状態で、個々人で人間関係の構築や経済的自立などに向き合わざるを得ないという過酷な状況があります。

その状況に新型コロナウィルスの影響が拍車をかけ、若者たちをより困難な状況に追い詰めています。

非正規など不安定な職種で、なんとか生活をしていた若者たちにとっては、緊急事態宣言を受けての、減収、もしくは職を失うリスクは深刻です。

今回のパートナー団体である、Masterpieceが2020年4月の緊急事態宣言を受けて行った第一回緊急支援時の対象者138名の若者のうち、コロナの影響で仕事を失ったのは4人に1人、それに加え、6割の人たちが仕事が減り収入減となったと回答しています。

また、今般の緊急事態宣言(2021年1月)を受けて生じている、もしくは生じそうな影響を若者たちにアンケート調査したところ、7割強が仕事を失う、もしくは減収となるリスクを抱えていると回答しました。

代表の菊池さんが電話にて相談対応。公的な支援を受けるために同行をすることも多い。

 

具体的には、飲食店でアルバイトをしている若者を中心に、シフトが減り困っているという声が多く寄せられた他、親の職場も不景気で親から支援を得られない、暮らしの資金も借りれず生活費が底をついている、という声もあがっています。

さらに、公的支援の課題も前回に引き続き浮き彫りになっています。

前回の緊急支援時にも、行政支援に親の同意が必要なものがあったり、学生では生活保護を受けられないなど、社会的養護出身の若者を想定した制度設計になっていないことが明らかになりました。

それに加え、今回は、前回の緊急事態宣言時と異なり、国や大学などからの支援や補助がより限定的になっていることから、今回の影響は一部の人たちにとって、より大きくなる可能性があります。

若者のアンケート調査からは、上記のような経済的な困難さに加え、孤独・孤立についての不安な声も寄せられました。

「外出する機会が減ることや、人と会えなくなることがしんどい」「孤立で病む」と言った声があがっています。

いざとなった時に頼れる、気軽に会いに行ける実家、という存在がない若者にとって、ステイホームの影響は深刻であり、そのような中でも彼らとつながれる存在の重要性が高いのです。

上述の状況を踏まえ、Masterpieceは、2020年5~6月にクラウドファンディングにて527名から5,045,000円の支援を受け、138名の若者に対して2-5万円の給付と、65名以上に対して、食料送付を実施しました。

前回の緊急支援以降、継続的な食料送付とメルマガ等でのつながりの維持を行ってきました。

今般、緊急事態宣言が再度発令されたことにより、飲食店で働く若者を中心に、再び深刻な状況が起こりうることを想定し、Masterpieceとかものはしプロジェクトで、二度目の緊急支援を実施しています。

第一回緊急支援時の食料送付仕分けの様子

 

(※)虐待などを理由に親と離れて暮らす子どもたちを社会で養育するしくみを社会的養護といいます。保護された子どもたちは児童養護施設や里親家庭などで暮らし、多くが18歳で巣立ちます。

 

今回の協働プロジェクトのパートナー 一般社団法人Masterpiece

今回の協働プロジェクトのパートナーである、一般社団法人Masterpieceは、社会的養護を巣立った若者達のサポートをしている団体です。

代表の菊池真梨香さんは、元児童養護施設の職員の方です。

児童養護施設職員だった時に、施設を巣立った若者達が、その後の生活に困難を抱え、人間関係がうまくいかなかったり、仕事を失ったり、中には住居すら失う経験をしていることを知り、菊池さんは一般社団法人Masterpieceを立ち上げました。

Masterpieceとは、「最高傑作」という意味です。

「あなたは最高な存在で、最高なあなたとして生きることができるように」という思いが込められています。

Masterpieceは、シェアハウスの提供や、フードバンクによる食料サポート、居場所サロン、相談受付、当事者の声を届ける活動、発信活動などを行っていらっしゃいます。

一般社団法人MasterpieceのWEBサイト

https://peraichi.com/landing_pages/view/masterpiecejp2017/


代表の菊池さん。今も児童相談所で働きながら、Masterpieceの活動を行っている。

一般社団法人Masterpieceを協働パートナーに選んだ理由

かものはしプロジェクトは、2020年秋より児童虐待を中心とした「子どもを取り巻く不条理をなくす」活動を少しずつ開始しています。

活動を進める中で、社会的養護を巣立った若者達が新型コロナウイルス感染拡大により、元々困難だった状況がさらに厳しくなっていることを知りました。

特に今回は前回よりも公的な支援が手薄な中で、ピンポイントで打撃を受けている若者の状況をサポートしたいという思いがありました。

既に支援活動をしている団体を調べていく中で、さまざまな団体が支援活動を行っていますが、社会的養護出身者に特化して緊急支援を行っている団体は多くはなく、Masterpieceであれば、緊急支援を実施した後も、公的な支援に繋げたり、シェアハウスの提供などさらにその先の支援の実施をしていただくことができるため、Masterpieceと協働することにしました。

Masterpieceに、相談対応やその後のサポートを実施していただき、かものはしは支援集めやロジスティクスを担当し、共同で告知を実施しています。

ぜひ、下記のMasterpieceとのクラウドファンディングのページをご覧いただけましたら幸いです。

https://readyfor.jp/projects/supportforyouth

 

村田 早耶香Sayaka Murata

創業者

大学在学中に子どもが売られる問題を知り、実際に問題が起きていた東南アジアの現場での深刻な現状を見て、最初は一人で出来ることから取組みを開始。20歳の時に共同創業者の本木・青木と出会い、かものはしプロジェクトを創業。以来、この問題の解決のために活動を続けている。

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