子どもが売られない世界をつくる | 認定NPO法人かものはしプロジェクト

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社会を変えるためのサバイバーによる力強いアドボカシー活動

こんにちは!かものはしプロジェクトスタッフの早瀬です。

2018年を通じて、サバイバー(人身売買被害者)は、人身売買をなくすために力強く活動を続けてきました。

その活動と、活動に寄り添うことで感じた彼女たちの姿について、お伝えしたいと思います。

包括的人身売買取締法案と国会

かものはしプロジェクトは、2018年、インドの国会に注目してきました。

加害者の捜査・裁判の仕組みや、被害者を支援する仕組みを変えていくための重要な新法案である「包括的人身売買取締法案」が議案に上っていたからです(包括的人身売買取締法案に関する過去の記事はこちらから)。

夏の国会では下院を通過し、サバイバーや関係者は喜びを分かち合いました。

国会での審議にあたり、マネカ・ガンジー女性子供開発大臣が力強く人身売買への取り組みの重要性を国会で語った様子は、希望を与えるものでした。

サバイバーによるアドボカシー活動

モディ首相へ宛てたハガキ


この新法案は、インドで「子どもが売られない社会」の仕組みづくりを加速するためにとても重要です。

このような動きの中で、サバイバーたちは新法案が国会で通るように、力強くアドボカシー活動を続けてきました。

その取り組みのひとつとして、首相に向けたハガキ送付キャンペーンが2018年に行われました。

サバイバー、その家族、そして賛同する地域の人々が、人身売買という問題を解決するために政府に取り組んでほしいという思いをこめたハガキをモディ首相に向けて出したのです。

それは11の州で行われ、約11万通もの手書きのハガキが制作されました。

その中で、かものはしが支援するサバイバーリーダーのグループであるUtthanはモディ首相へのハガキを1561通を集めました(Utthanに関する記事はこちら)。

もう一つの支援グループであるBandan Mukutiは、約1500通を西ベンガル州の9つの地区から集め、首相に届けました。

サバイバーたちは地域を回り、人身売買という問題について、また法案の重要性について地域の人に説明し、メッセージを集めたのです。

署名だけでなく、手書きのメッセージをこれだけの数集めるというのは、簡単なことではありません。

これらの取り組みは、政治家に対して直接、サバイバーの声を届けるとともに、これをメディアに報道してもらうことで、法案の重要性を広めることを目的としたもので、記事にもなりました。

奪われた力を取り戻したサバイバーの優しくしなやかな強さ

サバイバーたちは、人身売買被害に遭い、売春宿で過ごした過去があります。

売春宿での暮らしの中で、一度は自分たちの力を奪われてしまいました。

しかし、さまざまな発信や活動を通じ、自分たちのような被害者を失くそう、被害に遭った人たちの正義を取り戻そうとする姿から感じられるのは、彼女たちの内側にある力やエネルギーです。

そしてその力は、優しく、しなやかです。

自分たちの辛い経験を振り返る勇気をもち、それを乗り越え、それを人に語る。

当事者としての経験を語り、周りを巻き込み社会を変えていこうとする。

これが2018年、社会を変えようとするサバイバーたちの活動に寄り添い続けて、見えてきた彼女たちの姿でした。

サバイバーのリーダーシップ育成プログラム

かものはしプロジェクトは、このように社会を変えようとするサバイバーのリーダーに寄り添う「サバイバーのリーダーシップ育成プログラム」をパートナー団体とともに提供しています。

例えば、地域を回ったり活動をする中で、心無い対応や声がサバイバーに向けられたり、サバイバーが困難にぶつかることがあります。

そんなサバイバーをケアし、寄り添うソーシャルワーカーの能力があがるように、ソーシャルワーカーへのトレーニングなどを提供しています。

またサバイバーが人を巻き込み活動を広げていくために必要なリーダーシップを育てるためのトレーニングを提供しています。

いつもかものはしプロジェクトを応援いただきありがとうございます。

2019年もサバイバーとともに、子どもが売られない世界をつくるために、活動を続けてまいります。

引き続き、かものはしプロジェクトとサバイバーの応援をよろしくお願いいたします。

 

 

早瀬 真理絵Marie Hayase

ソーシャルコミュニケーション部シニアスタッフ

アフリカで幼少期を過ごす。民間企業および外務省での勤務の後、海外で専業主婦となる。帰国後、社会課題の解決を仕事にするという決意を胸に就活。かものはしの組織文化と個性豊かなメンバーに惹かれ、2018年5月に入職。

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