新型コロナウイルス感染症[COVID-19]における
かものはしプロジェクト インド事業部緊急レポート

緊急レポートを閉じるにあたって

新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちが活動するインド社会に対して非常に厳しい影響を与えています。応援してくださっている皆さまから、ご心配の声やご寄付の申し出などさまざまなお問い合わせをいただいております。

そこで、刻々と変化する、インドの現場の状況や、パートナー団体やサバイバーリーダーの状況をお伝えしたいと考えこのページを作成しました。日々現場とのやり取りを重ねているインド事業部からの情報共有などを「時系列で見るインドの状況」にまとめ、今後も随時更新していきます。

スピードを重視し、かものはしの団体内で共有される情報を、ほぼそのままお伝えするため、一部わかりにくい表現などありますがお許しください。

(共同創業者 本木)

※記事によっては、お伝えするスピードを優先し、あとから再更新するものもありますのでご了承ください。

このページに掲載している情報は、かものはしプロジェクトが現地とやりとりをする中で得ているものです。

新型コロナウイルスにおけるインドの正確な情報をお知りになりたい方はWHOやインド政府の発表など、公的機関で発表されている信頼できるデータをご確認ください。

日本事務所の対応については「緊急事態宣言を受けた各種運用変更のお知らせとお願い」をご覧ください。
かものはしが行っているインド事業について詳しくはこちらをご覧ください。

インド事業地における影響

(2020年6月2日時点)

インドでは感染者数が21万人を超え(※)、マハラシュートラ州が感染者数、死者数ともに圧倒的に多い状態が続いています。3月25日にモディ首相により全土封鎖、外出禁止令が発出され、数回延長された後、6月3日、一部封鎖解除が始まりました。地域を感染レベルで分け、「封じ込めゾーン」は6月末までロックダウンを継続、そうでない地域は段階を追って各種制限を解除されることとなりました。

かものはしの事業地がある西ベンガル州は6月30日まで引き続き封鎖が発表されています。また5月20日に発生した大型サイクロン・アンファンが、西ベンガル州の南24区、北24区、カルカッタを直撃したことから、大きな被害が出ています。

※出典:Sattva Consulting
https://www.indiadatainsights.com/free-interact/india-covid-19-cases/

サバイバーたち
おかれている状況

(2020年4月30日時点)

まず、サバイバーリーダーたちの状況ですが、以下の点で状況が困難になってきています。

①深刻な食糧不足(配給物資)
②手元に現金がなく、以下の生活必需品が購入できない
-衛生用品(石鹸、マスク、生理用品等)
-食糧(野菜やプロテイン、油、香辛料、調味料)
-薬
③手元に現金がなく、病院に行かなければならないのに交通費がない(HIV感染者、白血病、妊婦、乳幼児がいる、等)
④生活資金がないので、高利子の闇金からお金を借りている、または配給所から食料をツケでもらっている
⑤PTSD(心的外傷後ストレス障害)の再発
⑥家庭内暴力、子どもの虐待の増加(配偶者による借金の強要を含む)
⑦家族または自身の失業。これにより、仕事がなくなり、希望がなくなり、自分の価値喪失、という悪循環に。

これに対し、特に①、②については、パートナー団体たちは総出でいろいろなところを走り回り、必死に食料を確保し、サバイバーたちのところに届けてきました。食料配給については中央政府も州政府もスキームを発表し、「配給カード」を所持する人は無償で食料が受け取れるようになっています。しかし、政府の定めている配給量が圧倒的に足りなかったり、定め通りに配給ショップが配給してくれなかったりで、各世帯(6人~12人とか)で圧倒的な食糧不足が起きています。それに加え、様々なことが原因で配給カードをこれまでもらえなかった人たちも多く、サバイバーリーダーたちから「もう2日まともに何も食べてない」、「2日で1食食べられればいい方だ」、「私のもらった配給食糧は村でもっと食べるものがない人たちにあげてしまった」、というメッセージが寄せられています。特に、子どものころに人身売買の被害にあい、今も性産業に従事しているVimukthi(※2)のメンバーを取り巻く状況は非常にシビアで、配給カードを持つセックスワーカーがほとんどいないことから、「餓死」に対する恐怖が現実のものとなりつつあり、現地の新聞にも取り上げられ始めました。

※1 サバイバー…人身売買の被害にあいながらも生き抜いてきた人
※2 Vimukthi…サバイバーリーダーグループ

(2020年6月2日時点)

5月20日に発生した大型サイクロン・アンファンが、西ベンガル州の南24区、北24区、カルカッタを直撃したことから、大きな被害が出ています。

サイクロンが過ぎ去った後、電気やインターネット回線の復旧は遅れているものの、現場は活力を取り戻し始めました。被害状況が見えてきて、レンガ造りの家は軽微なダメージであるものの、レンガではない家の約8割が一部破損ないし全損の被害を受けています。ベンガル湾沿いが壊滅的で、家の多くは泥や牛糞の壁、とたん屋根かヤシの葉の屋根なので、洗い流されたか吹き飛ばされたか、ぺしゃんとつぶれてしまいました。

西ベンガル州は、家が全損した人に2万ルピーの現金を支給するという発表を行っており、家の倒壊具合についての調査が始まっています。

サバイバーリーダーのひとりの家が倒壊した様子です。GGBK(※1)のフィールドオフィスも倒壊しました。

GGBKとともに活動するサバイバーリーダーグループのBandhan Mukthi(バンダンムクティ)(※2)は、サイクロン発生直後、多くのサバイバーリーダーと連絡がとれない状況でしたが、現在では全員の安全が確認できています。

Bijoyni(ビジョイニ)(※3)のサバイバーリーダーが、自分の家も被災しましたが、コミュニティの女性たちを訪れて話を聞くなどの活動を行っています。

※1 GGBK…パートナー団体
※2 Bandhan Mukuthi(バンダン ムクティ)…サバイバーリーダーグループ
※3 Biyoyni(ビジョイニ)…サバイバーリーダーグループ

かものはし及び
パートナー団体の
これまでの対応

(2020年4月30日時点)

かものはしは以下の内訳で、合計192人のサバイバーリーダーたちに対し、4月~6月の月次給付金を1000ルピー上乗せすることを決め、支給しました(95万円相当)。

Bandhan Mukti (西ベンガル州 南24区): 52人
Vimukthi (アーンドラ・プラデーシュ州 ): 20人
Utthan (西ベンガル州): 20人
Bijoyni (西ベンガル州 北24区): 98人

またこれとは別に、パートナー団体が活動している地域にいる人身売買サバイバーとその家族を中心に、本当に餓死してしまいそうな脆弱性と隣り合わせで今日も暮らしている人たちを特定する調査を急いだところ、227人がそれに該当すると判断をし、227人に対し月額3000ルピー(5千円相当)の緊急支援を2か月分決めて送金しました(4月30日)。

South 24 Parganas, West Bengal: 53人(うち上記BMメンバー42人)
North 24 Parganas, West Bengal: 58人(うちBijoyniメンバー24人、Utthanメンバー5人)
Andhra Pradesh州:116人(Vimukthiメンバー17人)

(2020年5月18日時点)

かものはしでは、パートナー団体のSTCI(Save the Children India)から5月12日に緊急支援要請を受け、緊急支援を実施することを5月17日に意思決定いたしました。これまでSTCIが行っている緊急支援の対象に、STCIが持つリハビリ施設を卒業した、サバイバーへの現金支給があります(ほかにも、スラムにおける食料調達、配給、衛生用品の供与などがあります)。STCIは、政府未成年シェルターで保護されている人身売買被害者のうち20名前後を、自団体の施設Sahas Kendraに一年間通いで受け入れ、文字や会話やコンピュータの学習、職業訓練を行っています。彼女たちは、18歳になるとシェルターを出なければならないのですが、帰る場所のない、またはムンバイにとどまりたいという意思を持つ人については、STCIが持つネットワークを通じて働く場所をアレンジし、その多くは一流ホテルの清掃スタッフや一流企業の見習いスタッフ的に就職していきます。

その、就職してムンバイにとどまった女性たちが、ことごとく今回のロックダウンで解雇され、収入が絶たれたので、緊急現金給付を行わざるを得ないとの報告がありました。かものはしとしては彼女たちへの現金給付を主とし、100万円の緊急支援をSTCIに実施することを意思決定しました。また、ナグプールにおけるコレクティブインパクトモデル事業の残金が35万円ほどありますが、こちらもあわせて緊急支援にまわすことに合意しています。

STCIはこれまでの寄付、事業資金が大幅に減少することを見越し、スタッフの給与カットを決めています。昼夜を問わず、職を失ったスラム住民やサバイバーへ食料、衛生キットなどを配給しているスタッフたちが、安心して仕事に邁進できるよう、かものはしも微力ながら支援したいと思います。また、今回の緊急救援の中からシステムアプローチ(※1)のとれるデータを収集、分析し、この支援を一過性のものではなくシステム構築につなげていきます。

※1 システムアプローチ...問題の対象をシステムと捉える問題解決手法

(2020年6月2日時点)

パートナー団体の一つであるGGBKは、サイクロン・アンファンにより、フィールドオフィスが倒壊するなどの被害がでているものの、団体の起源が、災害救助だったこともあり、活発に活動を行っています。

クラウドファンディングに挑戦しています。
https://www.impactguru.com/fundraiser/help-families-children-adolescents-and-women?fbclid=IwAR3iaHW62GU8Ohrh9pFFYlTGg7frVnHNiNZU-r2YtLP5WjZWdz28e6QfldI

また別のパートナー団体であるSanjogは、「絶望から夢を」というテーマでクラウドファンディングを始め、支援額を順調に伸ばしています。

Sanjogはクラウドファンディングで集める金額を視野に、物資の調達を行い、屋根に使うブルーシートや乾物類などの食料を、より支援を必要としている他のパートナー団体に送るなど、自発的な動きがパートナー間で行われています。
https://milaap.org/fundraisers/support-sanjog-kolkata-sanjog-initiatives?fbclid=IwAR3PnCGE517fG4C9w5PKjdDayMfe4JFieEi4OdxMcr0ivk1vpPYOmAlPx_o

(2020年6月15日時点)

ILFATとTafteeshがクラウドファンディングをはじめました。

これがそのキャンペーン動画です。

これまでの緊急レポートでお伝えしてきた通り、ロックダウンにより州をまたいで出稼ぎに出ていた出稼ぎ労働者は全財産を売り払いながら、初期は歩いて、政府が対応をしてからは電車やバスで皆、家に帰っています。出稼ぎ労働者のみならず、日雇いで暮らしている人たちもことごとく解雇され、インドの失業率は25%を超えています。

ILFATのメンバーたちも、職を失った日雇い労働者や、何とか命からがら帰ってきた出稼ぎ労働者を全力で支援しており、今回のクラウドファンディング立ち上げにいたっています。

これは2部構成のデジタルキャンペーンの第一部です。このクラウドファンディングの後半から、「この出稼ぎ労働者の問題ってそもそも、今に始まったことじゃないよね」「そもそもこの出稼ぎ労働にまつわる法改正が今まさに行われようとしてるの、知ってた?」「その法改正案は、こういうところに問題があって、これは人身売買を加速させるよね」というキャンペーンを始めます。具体的にはchange.orgを通じたオンライン署名を予定しています。

性的搾取を目的とした人身売買のみを支援してきたかものはしのサポーターの皆さんからすると、え、なぜ、出稼ぎ労働者の問題をかものはしの主幹事業であるTafteeshが支援するの?と不思議に思うかもしれません。でも、これ、本当につながってるんです。

かものはしの緊急情報システムによると、ロックダウン前、世帯の中で収入がなかった人は、全体の0.9%にすぎませんでした。でも、ロックダウンで、家族全体の収入が0になった世帯は68%になっています。10人に7人は世帯収入が今0なんです。これが続くと何が起きるかわかりますよね。。そうです、借金をしてなんとか、仕事が見つかるまで家の中を切り盛りしなければならない。これを、今回の2部構成のデジタルキャンペーンで、緊急支援&制度的欠陥の修復を通して、Tafteeshは対応していこうと思っています。

これが、クラウドファンディングのページです。
https://fundraisers.giveindia.org/campaigns/rebuild-lives-of-returning-migrant-workers-affected-by-covid19-crisis

前回のILFATのクラウドファンディングでたくさんのかものはしサポーターの皆さま、かものはし職員など関係者にも支援をしていただいたので、続けてのお願いをして大丈夫だろうか、とちょっと不安に思っています。でも、是非このクラウドファンディングも成功させたいので、どうぞお知り合いの方に共有していただけると助かります。インドのネットワークだけで、今、支援金額の10%弱が集まり、137人が応援してくれています。どうぞ、皆さま、よろしくお願いします。

今後の計画

(2020年4月30日時点)

①緊急フェーズにおける緊急支援

A)サバイバーリーダーへの月次給付金の増額(3か月分)
B)サバイバーリーダー及びそのほかのサバイバー、女性への緊急支援(2か月分)
C)パートナー団体への自由度の高い緊急支援(未定)

②緊急フェーズ後の復興フェーズにおける復興支援

A)借金をして生活を回している人たち、職を失い、ロックダウン解除後に血眼になって仕事を探す本人やこの人たちの子ども・女性たちが、ロックダウン解除後、人身売買の被害にあう確率が高まっています。インドには人身売買特別警察(AHTU)があるので、AHTUや女性子ども開発省がどう人身売買を予防するよう計画しているのか問い合わせをし、警察と協力して特に脆弱性の高い人たちが人身売買の被害にあわないよう活動をしていきます。

B)家の中に閉じこもるという環境が、売春宿に閉じ込められていた記憶を呼び戻し、PTSDなどの再発が深刻化しています。また、自分の力ではどうにもならないこの感染症を前に、自分が無力だと感じることも、心が元気でなくなっていく原因になっています。したがって、メンタルヘルスの支援が必要な人を支援につなげ、サバイバーリーダーたちがコミュニティのレジリエンス(回復力)を高めていくような活動を計画しています。

C)配給カードを持たない人たちは、この後また新型コロナウイルスの感染熱が再発した場合、また食糧危機に追いやられます。したがって、政府に対し、food securityに対する権利を求めていきます。これは特に、Vimukthiのリーダーたちが、他州のセックスワーカーの人たちと連帯できるかどうかを探っています。

(インド事業部ディレクター 清水)

皆さまへのメッセージ

(2020年5月1日時点)

新型コロナウイルスの影響拡大の状況がわかってきた2020年2月ぐらいから、予算の見直しや節約プラン、活動計画をスタッフや役員でつくってきました。寄付先となっていたチャリティマラソンの中止や企業寄付など大口の寄付が大幅に減少することが見込まれており、財務的に厳しい状況です。その中で、サバイバーリーダーたちとその家族が生命をつなぐための寄付を行うことができたのは、サポーター会員の皆さまを初めとして多くの人が、この苦しい状況の中でも、支援を継続して下さっているからです。あたたかいご支援を本当に感謝しています。こうしたご支援は「お金」という意味だけでなく、インドの人たちを励まし、そして私たちスタッフを勇気づけてくれます。

今後どうなっていくか分からないと感じています。このままいけば社会が崩壊するかもしれない。生きるか死ぬかまで追い込まれた人たちが人身売買の被害にあうかもしれない。一方、日本においても深刻な状況があり、インド事業を支えるための資金が不足することになるかもしれない。これから日本でも倒産が増え、収入がなくなり、その日を生き延びるのに必死な人がたくさんでるのではないか、虐待や家庭内暴力が増えるだろうと思っています。

この状況だからこそ、改めて自分たちの使命を確認しています。それは、国や民族の違いを超えて支え合い、人が人として尊厳をもって生きることができる社会をインドでも日本でもつくっていくことです。それが、皆さまに信頼して頂き、支えて頂いている私たちの責任でもあると考えています。まずは、生命を守ります。そして、インドのパートナーNGOとともに、そして、サバイバーリーダーとともに、崩れ落ちそうな状況を耐えながら、この状況に対応した戦略にブラッシュアップしていきます。皆さんに改めて、様々な協力のお願いをさせてもらう事かもしれません。その時は宜しくお願いします。

(共同創業者 本木)

時系列で見るインドの
状況

当初からの現場とのやり取りを含めたインド事業部からの社内での共有情報などをまとめています。随時更新していきます。

3/253/263/31(1)3/31(2)4/34/74/84/94/164/174/204/24(1)4/24(2)4/274/294/305/1(1)5/1(2)5/1(3)5/55/75/8(1)5/8(2)5/11(1)5/11(2)5/125/14(1)5/14(2)5/185/19(1)5/19(2)5/20(1)5/20(2)5/22(1)5/22(2)5/256/19

3/259:44

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

おはようございます。インドは昨晩モディ首相の演説があり、21日間全土外出禁止が決まりました。すでに社会的脆弱者層への影響は出ていると報告が入っており、べディア(※1)等のグループは日常品購入ができないために、高利貸しからお金を借りて借金地獄のサイクルが回り始め、その代替としての人身取引が行われる可能性が高まっていると聞いています。ただ、全土外出禁止になったときに、人の移動自体が難しくなるので(デリーは電車サービスが全て止まっています)どうやって人身取引になるのかなとまだ私自身はよくつかめていません。

事業への影響は思っていた以上に拡大する予感がしており、Programme Directorsと相談しようと思っています。

なお。Priyanka(※2)が、親知らずが生えてて放置していたところに先週末からのカルカッタ外出禁止令が出て、顔全体が腫れていて大変なことになっています。歯医者さんがオフィスを閉めてしまい、しかも人の口の中をいじるので感染確率が上がるから診療禁止が出たみたいで歯医者にもいけず、痛み止めも聞かず、顔はどんどん腫れる一方で。。。見てて涙出てきました。痛々しくて。

※1 べディア…イギリス植民地時代に「Criminal Tribe」として指定されたところから、代々世襲的に女児の人身売買が行われているグループ
※2 Priyanka…インド現地メンバー、Survivors Leadership Programmeのプログラムマネジャー

3/2616:36

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

コロナウイルスの拡散を受け、インドが全土で21日間外出禁止令が出ました。その外出禁止令を受けて、サバイバーリーダーたちが今こんなことが起きているとボイスメッセージを送ってくれたので、共有します。

①チャッティスガル州の労働搾取のリーダー
食糧不足が深刻。お給料をまだ受け取れてないから(彼は今、NGOで働いている)、経済的に困難な状況に置かれている。食料を買うお金がないから、問題に拍車をかけている。チャッティスガル州政府はこの問題に対して明確な方針を出していない。日雇い労働の人たちはさらに苦しい状況に置かれるだろう。また、水へのアクセスが困難になっている。彼らの村には、みんなが水浴びをする池があって、池へのアクセスが、外出禁止令によって難しくなった。家には24時間毎日水は配水されておらず、水にアクセスできない。

②西ベンガルのUtthanリーダーの一人(※1)
外出禁止令が政府から出たが、彼女の家族やコミュニティの人たちはこんな大ごとなんだって全然知らなかったから非常に驚いた。だから、こんな状況に対して全く何の備えもしてなかった。みんな孤立していて、仕事に行けない。農業に従事している人は農業すらできない。日雇い労働者は働けないから、みんな家にいて、悲惨な状況になっている。家に備蓄していた食料は日々なくなっていっており、彼女のコミュニティは誰からも支援が寄せられていないので、深刻な問題だと感じている。もし誰かが病気になっても、誰もその人を病院に連れていきたがらない。病院でウイルスに感染するのが怖いから。病院に行くお金ももうないから。

③ビハール州の労働搾取のリーダー
自分は、NGOで働いて、月1万ルピーのお給料をもらっているから、そのお給料の中で家族を養っていて、今のところ大きな問題は生じていない。唯一の心配は、コロナウイルスがいつ終わるんだろうか、いつになったら自分たちは計画づくりとそれに基づいた行動に移れるのだろうか?ということ。外出禁止令が長引けば長引くほど、警察調書を作ってもらったりとか今まで計画していたことが全然効果が出なくなってしまう。

④西ベンガル州のBijoyniのリーダー(※2)
問題に直面している。彼女の家族は農業に従事しているので、野菜は家にあるけれど、そのほかの食料(米、ダールを作る豆類等々)が全くない。彼女は、日雇い労働者がどうやって生計をマネージするのかとても心配している。日雇い労働者は一日単位でお給料をもらうわけであり、それで家計をやりくりしている。そのお給料が入ってこなかったら家計はやりくりできないから、どうするんだろう。。。警察がとても厳しい(カルカッタ市内でも、ちょっと外に出ていると、警察が飛んできて殴られる事態が頻発しています)。彼女の家はなんとか食料はやりくりしてるけど、21日間はとてもじゃないけどもたない。Bijoyniのリーダーとして月額報酬をもらっているけど、オフィスに行けなかったので、報酬を受け取れていない。彼女には乳児がいて、赤ちゃんのご飯を調達するのがとても難しい。なぜなら赤ちゃんの食料を売っていたお店は全部閉店してしまったから。

このほかにも大量のボイスメッセージが寄せられており、聞けば聞くほど胃が痛くなり、じたばたしても仕方がないんだけど、そわそわして、全く仕事が手に着かない状態が続いています。コロナウイルスによって死者が出るより先に、食べられなくて死んでいく人たちが本当に出るのではないか、食料をめぐって暴力が発生し、悲しい現実に直面しなければならないのではないか、などなど、私の妄想の心配事が剛速球で頭をかけめぐっています。

※1 Utthan…サバイバーリーダーグループ
※2 Bijoyni…サバイバーリーダーグループ

3/319:20

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

インドでは、出稼ぎ労働者をめぐる状況が刻々と悪化しており(みんな、400キロとか歩いてます。昨日はデリーから200キロ先にあるマディア・プラデッシュ州を目指していた男性が心臓発作で途中で死んでしまったり、そのほかの人も車にはねられて死者が出ています)、昨日、モディ首相が謝罪をしてました。謝罪しても動き始めてしまった大移動はもう止められない。ということで、発端はコロナですが、全然違う様相を呈してきました。。。

3/3118:00

清水 友美(インド事業部)Facebookへの投稿

「Home」を目指して

こんにちは。インド事業部の清水です。
先週金曜日に、本当はインドの状況を配信する予定で、投稿記事も出来ていたのですが、東京都を筆頭に週末外出自粛のアナウンスが出てから日本の中でもこの新コロナウイルスに対する緊張感がぐっと一段と高まりました。
その中で、果たしてインドのことをお伝えするのが、本当に私たちがしたいことなのかわからなくなり、いったん先週金曜日は投稿を見送りました。楽しみにしてくださっていた皆さま、ごめんなさい。
テレビやニュースの報道でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、インドでは3月24日夜に、21日間のロックダウンが宣言されました。農村でも都市でも、ありとあらゆるところに警察がいて、外に出てきた人を尋問したり、暴力を加えたりしています。
非正規雇用の労働者が大半をしめるインドで、ロックダウンの影響を最も受けているのは、契約書さえない、このような非正規雇用者たちです。

ロックダウンされたことにより仕事がなくなり、家の外に出られなくなったこの環境で彼らは生き残るのが難しいと判断し、とにかく出身の村をめざして、多くが歩き始めました。公共交通が全て止まっているので、自分の村は400km離れているけど、歩くしかないと言って、歩いている人たちが後を絶ちません。その中にはもう3日もビスケットしか食べていない、コロナウイルスによって死ぬより前に、飢えによって息絶えるかもしれない、と答えている人たちがおり、私は胃が痛くなりました。
東日本大震災のあの日、父が行方不明になり、連絡が取れない、長い時間がありました。父は、自由が丘の職場から横浜の戸塚の自宅まで歩いて、無事帰ってきたのですが、それを聞いたときにあまりの距離の長さに心が痛みました。今回のインドの400kmは、それとは比較にならなくて、もう言葉がありません。
そして、当然インドの道には警察がわんさかいて、そんな風に歩いて村に帰ろうとする人たちにうさぎ跳びをさせたり、腕立て伏せをさせたり、スクワットをさせています。いじめ以外のなにものでもありません。食料の値段が高騰する都市では本当に死んでしまう、だから、なんとしても生きて村に帰りたい、そんな彼らの言葉を聞いていると、どうか無事にたどり着きますようにと祈る以外何もできない自分がいます。

日本の、特に東京や千葉などの新型コロナウイルスの感染状況や、外出の自粛に伴って収入が入ってこなくなること、学校再開が延期になるかもしれないことによって子どもたちのストレスが高まっていくこと、それらを考えると暗澹たる気持ちになります。
でも、開けない夜はないと、ハラスメントと空腹に耐えながら、自分の村を目指して歩いている人たちがいます。医療の最前線で、過酷な現実と闘っている人たちがいます。それを思うと、私は私でちゃんと役割を果たしたいと思うのです。

4/318:00

清水 友美(インド事業部)Facebookへの投稿

無心に誰かを思う、みんなの火事場の馬鹿力

こんにちは。インド事業部の清水です。昨日までの東京の一日当たり感染者数が、3桁目前ということにドキドキしています。皆さん、お元気ですか?思ったよりトンネルは長く続きそうで、この「非日常感」が少しずつ私たちの心を疲弊させているように感じています。

このスクーターの男性。私たちが一緒に活動しているソーシャルワーカーの中で最年長のモヒドゥールです。もともと学校の先生をしていた人で、その傍らコミュニティ活動をしてきました。ある時、かものはしが支援しているTafteesh事業の全体会議の場で、彼のサバイバー支援は、本当は誰のためなのかと問われました。モヒドゥールからしてみたら、全身全霊を注いできたはずなのに、彼が良かれと思ってしたことが実はサバイバーの声を抑圧していたのではないかと突きつけられたことは、彼を大きく傷つけました。そしてそれをその場で声を大にして言えなかった彼は、小さな紙切れに「I am not a cheater(私は詐欺師ではない)」と一言書いてその場を去りました(でも、もちろん、彼は活動を継続していますよ)。実は彼は白内障を患い、もうほとんど目が見えていません。そんなモヒドゥールが、スクーターに乗って、かき集めてきた食料をサバイバーリーダーたちに届けているこの写真が送られてきたとき、私は心の底がじーんとしました。

今回の外出禁止令は、世帯収入の多くを日雇い労働に頼っているサバイバーリーダーたちにとって、収入が即「0」になることを意味します。多くが「21日間も生き延びられない」とボイスメッセージを送ってきました。それを見たパートナー団体の人たちは、県政府に掛け合い、お米や豆、ジャガイモや玉ねぎなど、日持ちのする食料をかき集め、サバイバーリーダーたち、ソーシャルワーカーたちが手分けして、今、他のサバイバーたちの家に配っています。
また、先週の出稼ぎ労働者が都市を出て大移動を始めたと書きました。昨晩遅くに、「うちの村出身の出稼ぎ労働者がムンバイで立ち往生したと電話がかかってきた。誰か助けて!」と西ベンガル州のソーシャルワーカーからメッセージが入ると、ムンバイに土地勘のあるの別団体の人が、「俺に任せろ」と言って、その立ち往生しているベンガル人に電話し、お金がなくて食料が買えず動けなくなったらしいということを報告してくれました。「どうやったらその人にお金送れる?」と別の団体のディレクターが反応し、そのやり取りを見ていた私は、これがインドの底力だなぁと泣きたくなりました。これ、誰も、この立ち往生している出稼ぎ労働者の知り合いではないんです。知らない人のために、こんなにも多くの人たちが夜中までやり取りをしている。
そんなみんなに、「そっとHugを、言葉にならない『ありがとう』」と、なんか泣けてきたよということとともに伝えたら、「そんなかものはしでいてくれてありがとう。それが僕たちに強さをくれるよ」って返ってきました。無心に誰かを思う、みんなの火事場の馬鹿力が、世界を温めてくれるよう、祈りを込めて。

4/717:30

日本で緊急事態宣言が発令

4/718:00

清水 友美(インド事業部)Facebookへの投稿

遠いインドでも、きっと同じ、私たちはつながっている

こんにちは。インド事業部の清水です。
とうとう緊急事態宣言が出ますね。ロックダウンじゃない、冷静な対応を、とテレビから流れてきます。
明日がどうなるのか分からない、予測が立たないことが、私たちの心に思った以上に疲弊感を与え、見えない形でそこそこににじみ出てきているのを感じます。
意味もなく流れてくる涙、身体的反応。あなたひとりだけに起きているのではありません。遠いインドでも、きっとその他の国でも、同じような恐怖に震えている人がいます。
そんな時はそっと目を閉じて、自分の小さかった頃をイメージします。小さな「私」が微笑みながら何か言おうとしています。どんな風景が見えますか?その声は何を伝えようとしていますか?
先日、サバイバーリーダーたちから歌が送られてきました。ひとりが歌い始めたら、次々と歌や自作の「詩」が送られてくるようになりました。
私は、今日は久しぶりにピアノを弾いてみようかなと思っています。「地球星歌」。気になった方はYouTubeで検索してみてください。一緒に歌いましょう。
※インドからのお便りは、少し状況が落ち着いたらまた再開します。少しお時間をください。

4/812:16

草薙 直基(日本事務所スタッフ)情報共有チャット

<Priyankaからのメッセージ>
今朝Priyanka(※1)と「お互いにこの状況だけど、がんばろうね。」とチャットをしていました。 そのやり取りの中でのPriyankaからのエールメッセージが嬉しかったので、「僕にくれたメッセージをみんなにシェアしていい?」と聞いたら「そしたらみんな用に書くから待って。」と以下のメッセージを書いてくれました。 とても励まされる内容なので共有です。ともにがんばっていきましょう。

Hello Kamo Japan Team Members,

This is Priyanka. Hope you all remember me, or at least some of you do. How are you all doing? I hope everyone of you and your family members are doing okay and are safe in these difficult times. We have been hearing from Tomomi about the situation in Japan and so I just wanted to check in with all of you. Sending you lots of love, light and positive energy from India. Hopefully this will pass and everything will be well soon! Lots of love and please stay safe! I remember all of you fondly and miss the time spent with you all in Tokyo. Big hugs- Priyanka

かものはし東京事務所のみんなへ

Priyankaです。覚えてくれていますか?みんな元気ですか?厳しい状況だけれど、みんなもみんなの家族も無事で元気でいてくれていることを願っています。友美から、日本の状況はずっと共有してもらっていて、みんなそれぞれが大丈夫か、気になっていました。沢山の愛と、光と前向きなエネルギーをインドから送ります。この状況が過ぎ去り、全てが早く良くなることを祈っています!みんな、無事でいてね。東京で過ごしたみんなとの日々、みんなのこと忘れません。ビッグハグを。Priyankaより。

※1 Priyanka…インド現地メンバー、Survivors Leadership Programmeのプログラムマネジャー

4/910:20

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

サバイバーリーダーたちに、4月・5月の2か月分、月次給付金をひとり1000ルピー増額するという意思決定をし、今のところBijoyni(※1)とVimukthi(※2)がその支援を受けたいと申し出てきたので承認しています。VimukthiはHELP(※3)にそのお金を物資に替えて配給してほしいとリクエストがあがってきました。

昨日、HELPから、「そのお金を使って以下のものを調達しました。かものはしの迅速な対応に心よりお礼申し上げます」と連絡がありました。

5Kg Rise, 2Kg Dal, 2Kg Atta, 2Kg Ragi powder, 1Kg Oil, 1 Kg Jaggery,200Grms Red chilli powder,100Grms Turmeric powder, 3 biscuit packets,1Salt packet,4 types of Vegetables

米5キロ、ダル(挽いた豆)2キロ、アタ(小麦粉)2KG ラギ粉(シコクビエ)1キロ、油1キロ、砂糖1キロ、唐辛子粉200グラム、ターメリック粉100グラム、ビスケット3袋、塩1袋、4種類の野菜

ただ、これだけでは現金が足りないので、Vimukthiリーダーのうち何人かが、早朝4時半から8時半まで、とうがらし農園で、とうがらしの収穫の日雇い労働に出始めたと連絡があり、軍手をしてとうがらしをもぎとれないので、素手でもぎとることになり、痛くて痛くて困っているそうです。

※1 Bijoyni…サバイバーリーダーグループ
※2 Vimukthi…サバイバーリーダーグループ
※3 HELP…インドのパートナー団体

4/1618:07

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

インドでは、一昨日、lockdown(全土封鎖)が5月3日まで延期になりました。その声明が出た日、ビハールや西ベンガル州などの故郷に帰るために、電車を動かしてくれるよう、バスを動かしてくれるよう、政府にお願いしようと集まった出稼ぎ労働者(主に建設作業の出稼ぎ労働者たちでした)が、その場所で全土封鎖が延期になった速報を聞き、暴徒化しました。昔私が住んでいた家の近く、STCI(※1)のオフィスのすぐ近くで起きました。その模様はインドのテレビで大きく報道されました。

Utthan(※2)リーダーのひとりから、この2日ほどほとんどまともにご飯を食べていないというメッセージがありました。彼女の村に食べられない人たちがたくさんいるので、自分が受け取ったお米等をわけていて、警察や政府から食料配給を受けたけど、2日しか持たない量だったと連絡がありました。

ロックダウンが5月3日まで延期されたことにより、現場の状況が緊迫してきていますので、情報共有のためお知らせしておきます。

同じような状況の動画がアップされているニュースがございますので、こちらをご覧ください。https://www.youtube.com/watch?v=tpST8TNcAKI

※1 STCI…Save the Children India、インドのパートナー団体
※2 Utthan…サバイバーリーダーグループ

4/1714:52

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

昨日は、とあるグループのwhatsapp(※1)がとてもアクティブな日で。10人以上のリーダーたちが次々と今どんな状況にあって、どんなことを感じているのか話してくれ、なんというか、気持ちがいっぱいになってしまい、夜は機能不全を起こしました。食べるものがない、明日を食いつなげるかどうかわからないという不安は、人間の根本を揺るがす悲しさのように私は思っていて。それが、次々と違うリーダーたちの口から、州を問わず入ってくると、同じコロナウイルスの脅威に向き合っているのに、次元の違う苦しみに果てしなく悲しくなりました。ピアノを弾き、娘と歌を歌い、なんとか気分を紛らわせましたが、そんな時ふとある財団の担当者から別件で連絡が入り、あまりに悲しいとぽろっとこぼしたら、いくらいるの?確約できないけど全力で頑張ってみるからと言われ、号泣してしまいました。

泣いてばかりはいられないので、週末も自分にできる役割は何か、自分にできることは何かを問いながらアクションにつなげていこうと思います。皆さまも、週末、どこにも出かけられなくてストレスがたまると思いますが、温かく心穏やかに過ごせる環境があるように祈っています。

※1 whatsapp…インド現地メンバーとのやりとりをしているメッセージアプリ

4/209:19

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

金曜日のかもインドチームの話し合いの中で印象に残ったのは、
①サバイバーも、NGOのスタッフも同様に、全員が極度の不安(distress)の中にいる。distressの原因は、食べ物、生き抜けるのか、生きていられるか。
②distressの究極のエッセンスは、自分たちが今の状況をコントロールできないということから来ている。食べ物をもらいに行かないといけない、もらっても、1週間分ってもらっても2-3日で食べきってしまってまたもらいに行かないといけない。その状況はあたかも自分が乞食(begger)になったような感覚を与える。食料をもらいに行くと写真を撮られ、やめてくれといっても写真を撮られる。それはあたかも自分が援助を受けなければならない、「被害者」に押しやられた感覚を再現する。

②は、日本で外出自粛をしている私たちにもそんなに遠い話ではない。ので、そのあたりも今日のお昼の時間にふれることができたらいいなと淡い希望を持っています。

4/2414:02

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

外出規制がかかる中、あまりに暇になってきたから、得意の絵を描いているリーダー、詩を書いてるリーダー、歌を作って歌っているリーダーたちが、自分の作品を共有してくれています。

上の絵は、Soumosreeが描いて送ってくれました。彼女からこんな言葉が添えられていました。「私たちはみんな、花のようなものです。私たちは自分たちの中に様々な可能性を持っています。鳥が来て、私の顔をついばんだとき、私の中にあった花(可能性)がすっと表に出てきました。私たちは誰もが、その可能性に気付くのに、ちょっとした助けを必要としています。みんな、可能性と秘めた才能をたくさん有しているのです。表面上どんな風に見えたとしても、みんな自分の中に可能性を秘めています。パッと見ただけで、その人のそんな可能性に気付くのは無理です。ひとりのひとができることは無限です。例えば、私は絵を描くことができます。他のサバイバーリーダーたちは、どこのグループ出身かとかは関係なく、絵を上手に書いたり、歌を上手に歌ったり、とてもおいしい料理をすることができます。みんなそれぞれの可能性があって、それを持ち寄る、その時、私たちはお互いのサポートを必要とします。そんな風に私をサポートしてくれてありがとう、みんな」

4/2418:00

清水 友美(インド事業部)Facebookへの投稿

こんにちは。インド事業部の清水です。
前回のFacebook投稿からもう3週間がたちました。インドの状況は刻々と変化しており、かものはしのウェブサイトの方で近日中に皆様にご報告する予定でいます。
子どもたちが家にずっといて、学校から出ている宿題をみる傍ら、絶えず聞こえてくる、「ママ―!」を微笑ましく思いつつも、疲れている自分も少なからずいます。
今まで仕事は仕事のスペース、行きかえりの自分の時間は「自分」を取り戻すスペース、ご飯を作って子どもたちの話に耳を傾ける時間は母親のスペース、と、スペースと役割は分化していたのが、みんな家にいるようになり、仕事も家からするようになって、そのことが気づかぬうちにすごくストレスになっています。
本当はもっと子供たちの話も聞いてあげたいのに、仕事も集中してもっとやりたいのに、どっちつかずで、もぉ!ってこと、ありませんか?
そんな時、現場の最前線で今日も頑張っているソーシャルワーカーの人からこんな声が届きました。

「私は、人生の中で8つの異なる役割を担っている。母であり、妻であり、娘であり、そしてソーシャルワーカーであり、コーディネーターであり、友達の役割もある。
これらの役割は全部これまで、異なる物理的スペースを有していて、その中でそれぞれの役割を果たせばよかった。でも、このロックダウンによって、私の役割は全て家の中に持ち込まれることになった。
それによって、これまで別々に存在し得た役割は、固有の場所を失い、境界線があいまいになったことによっていくつかの役割を果たせないという状況を引き起こした。
これらの役割がひっつき、境界線があいまいになって、私はとてもやるせない、悲しい気持ちだ。
やらなきゃいけないことは終わらないし、本当はもっとやりたいのに、いくつかの役割においてはそれもかなわない。別のスペースで集中して落ち着いてやりたいのに、その希望もかなわない。
その状況に対してとても苦しいと思っている」

これを読んだとき、目からうろこでした。
インドでも日本でも、きっと世界のほかの国でも、これまで異なる環境に身を置くことで「言語」が異なってきた私たちが、同じ「言語」を有した気がしたのです。
今日も過酷な環境を必死に生き抜いている皆さんに、私たちに、感謝と祈りを込めて。

***
(写真について)
写真は、過去に亡くなったサバイバーを悼んで行ったセレモニーの時のものです。沢山の祈りとみんなの想いが込められたその時のことを思い出し、みなさんに今日届けたいと思いました。

4/2719:12

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

一昨日の土曜日、サバイバーリーダーグループのUtthanが「親愛なるCovid-19へ」という手紙を書きました。
それぞれのリーダーたちにとって、コロナがどんな形、顔をしているのか、コロナがどんなことを教えてくれたのかが書かれていて、なんか、とってもいいなーと思いました。最後の結びが何とも言えず私は大笑いしてしまいました。通常英語のレターだと、with LOVE(愛をこめて)で結ぶのですが、with NO LOVE(大っ嫌いよ)となってて、彼女たちらしい。

そしてそれは、Youth Ki Awaazという若者向けソーシャルメディアに取り上げられました。

https://www.youthkiawaaz.com/2020/04/utthans-open-letter-to-coronavirus/?success=1

4/2915:23

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

チャッティスガル州のサバイバーリーダー、Khemlalから詩が送られてきました。Khemlalはこれまでにもたくさんのオリジナルの詩を作って、サバイバーリーダーグループの間で共有してくれています(一部はメディアにも取り上げてもらいました)。彼はとてもはにかみ屋の、物静かな男性です。ある時、サバイバーリーダーグループの中で、彼は言いました。「みんなが今どんな状況にいるのか、どんな気持ちなのか、教えて。共有しよう。一緒にホールドしよう。でも、話せなかったらそれはあなたがそれだけ辛いんだって、僕は理解するよ。そして、また君に声をかけるよ。大丈夫?って。それでも返事がなかったら、君は本当に大変な状況に置かれているってことだね。何も言えないってことは、それだけ本当にしんどいところにいるんだと思うから。」そのボイスメッセージの後、多くのリーダーたちが、こんなことがあって辛い、うちはこんな感じ、売春宿で閉じ込められてたことを思い出した、と、たくさんのボイスメッセージを送ってきました。私は彼特有の柔らかいリーダーシップを心の底から尊敬しています。

だからこそ、彼から受け取ったこの詩を読んで、たくさんの気持ちが揺り動かされました。Khemlalの前に立ちはだかってる世界は、とても厳しい。とても無慈悲な世界のように見える。その世界の中で立ち上がり、声を上げようとしている彼の優しくて柔らかいリーダーシップが、多くの人を勇気づける日が来るんじゃないかなって。

I AM A LABOUR 私は労働者

The creator of the world, 私は世界を造っている者
And yet the world says  なのに、世界は
That from you nothing comes.. お前は何の貢献もしていないと言う

We work hard endlessly  私たちは休む時もなく一生懸命働く
And yet our stomachs go empty なのに、私たちのおなかはいつだって空いている
And sometimes the conditions are such  そして子どもたちが、学校にすらいけない
The children can’t even go to school そんな状況にもなっている

Those who have my share of the food, 私の仕事で食べている人たちは
They only rebuke me 私をなじるだけだ
Whom do I go to for justice, どこにいったら私は正義に出会える?
When I don’t even have the resources to access justice. 私は正義に出会うために必要なものを何も持ちあわせていないけれど。

Time has killed us, 時は私たちをなぶり殺しにしてきた
The world had defeated us, 世界は私たちを飼い殺しにしてきた
But yet found a space, でもそんなときでも、私は自分の居場所をみつけた
Because didnot run away from turmoil.. この不安や混乱から逃げなかったから見つけられた居場所

I am a labour,  私は労働者
The creator of the world, 世界を造っている者
And yet the world says それなのに世界は言う
That from you nothing comes.. お前が貢献しているものは何もない、と。

@copyright: Khemlal

4/3011:11

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

おはようございます。って、もうお昼近いですね。昨日は祝日でお休みする予定でしたが、朝からばんばん連絡が入り、結局眠れたのは夜中の1時を過ぎていました。。。子どもたちは「おうちの中でキャンプ」という番組を見たらしく、気づいたら家の中で寝袋で、汗びっしょりかきながら寝ていてびっくりしました。。。。

さて。いろいろ悲しいことが続いていますが、こんなレポートが作成されました。

サバイバーリーダーグループのUtthanとBijoyniのメンバーがロックダウンをどうとらえているのかを、写真と簡単な言葉でつづっています。このSLP(※1)の事業やっててよかったなーと思う瞬間です。彼女たちの、この声を上げ、他人と想いをシェアしたい、過去の売られた時の経験と今の比較も含めて、というリーダーシップを育ててきた現場のNGOたち、私たちのプログラムの力強さを感じます。内容は、彼女たちのFBで公開が始まったら、皆さんにも公開していきますので、しばらくお待ちください。

また、世界のイスラム教徒は4月24日から断食月に入っています。インドでも24日からRamazan(※2)が始まりました。断食月は、日が出ている間は食事がとれず、日が沈むと祈りを捧げて、胃に優しい水分、フルーツから食べ始めてIftar(※3)のご飯を食べます。前にも報告したことのある、Utthanリーダーのひとりは、自分が受け取った月次給付金で、自分の家の周りに住むお年寄りのおばあちゃんや家族に、iftarの食料を買って配って歩いていると報告がありました。彼女、ちゃんと食べてるのかなぁ(彼女は人一倍体がでかいのです)と心配になってインドの仲間に聞いたら、「大丈夫、食べてるわよ。ソーシャルディスタンシングを守らない人を注意して歩いてるらしいよ」と返事があってホッとしました。誰より心が優しく、誰より強がる、なんとも目の離せないリーダーです。

※1 SLP…Survivors Leadership Programme
(人身売買撲滅に向けた、サバイバーのリーダーシッププログラム)
※2 Ramazan…ラマダン(断食)
※3 Iftar…ラマダンの期間の断食が終わる日没に摂る食事

5/116:28

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

緊急レポートの4月29日のところに書いてある、Khemlalと、同じリーダーグループに所属するAnushkaのストーリーが、掲載されています。

https://m.edexlive.com/news/2020/apr/29/empty-stomach-discontinued-studies-how-the-lockdown-shattered-the-dreams-of-these-human-traffickin-11681.amp

また、Vimukthi(AP州のセックスワーカーグループ)が、配給カードの支給を求めて、AP知事への申し入れレターを送ったときの記事が掲載されています。このニュース会社のトップの人がVimukthiの困窮を知り、追加の連載を考えてくれています。
https://www.thenewsminute.com/article/commercial-sexual-exploitation-trafficking-survivors-andhra-seek-aid-cm-jagan-123072

ちなみに、昨日モディ首相は5月3日以降、ロックダウンをどうするか発表する予定をしていましたが発表は行われませんでした。一方、州境で閉じ込められているmigrant labourの動きを許可する政府方針を発表し、一時止まっていた国民大移動がまた始まっています。お金がもうないので歩いて帰る人、なんとかバスを出すよう政府に掛け合っている人たちなどが報道されています。

5/117:33

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

昨日、Tafteesh Management Committeeミーティングがありました。この2週間で3回目です。こんな頻度のTMCミーティング、史上初です。元々は、これまで現場で行われてきた食料配給のどんなことがうまくいっていてどんなことがうまくいっていないのか、どんなところにさらなる支援が必要で、システムの機能不全はどこで起きてるのか、などを話し合うために始めました。その後、このロックダウン期間中にやるべきアクションは何かを共有する場へ移っていき、昨日は、かものはしがこのロックダウン期間中及びその後何をどういう優先順位でやっていくかを発表しました。このかものはしの発表内容については、一昨日とその前日に、かもインドチーム10人でめっちゃ議論しました。

実はお伝えしてきませんでしたが、かもインドチームのメンバーも、今回の新型コロナウイルスの影響を多分に受け、特にメンタル面で不調の人が続出していました。ロックダウン直後に、みんなどう?セッションをした時に泣き出した人、日中は子どもたちの面倒と年老いた両親の面倒を見なければならないから、夜中仕事してたら不眠症になっちゃって、もうなんにも興味がなくなっちゃった、みたいなことを言い出した人。お母さんがひとりで村で暮らしてて、今もしお母さんに何かあっても何にもしてあげられないと考えると鬱っぽくなってしまった人。だから、このかものはしプランにたどり着くまでに、実に多様な話し合い、個々人のストーリーへ耳を傾ける時間があり、やっとここまでたどり着きました。

発表していろいろコメントをいただきましたが、特に嬉しかったのは、2013年からずっと一緒にやってきたパートナー団体の人が、4スライド目の、最後のポイントに言及しながら、かものはしは仕事面だけじゃなくて、いつも現場のことを気にしてくれて、何かできることないって気にかけてくれて、エネルギーを送り続けてくれて。そのことを心から本当に感謝してる、そのことを伝えたかった、と言ってくれた時でした。照れ隠しに「エネルギーだけにしてね、送るのは。ウイルスは持ち込まないでね」ってことも言ってましたが、彼女のその言葉は本当に嬉しかった。等身大のかものはしを大事だと言ってくれる人がチームにいるってほんと、いいなと思って。

5/122:29

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

インドのロックダウンが5/4から2週間延長になりました。

インド内務省の発表が先ほどありました。明日10時からモディ首相演説があると言われています。

感染者数に応じて、レッドゾーン、オレンジゾーン、グリーンゾーンに分けられており、レッドゾーンはさらにロックダウンの締め付けが厳しくなります。西ベンガル州南24区はオレンジゾーンで、それ以外のかものはしの事業地は全てレッドゾーンです。

胃が痛くなってきました。

5/514:39

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

かものはしの緊急救援がHELPに届き、支援を必要とする人のもとに届けられています。かものはしとしては、こういう風にBannerにかものはしのロゴを入れられると、なんとなく恥ずかしい気持ちになります。頑張ってるのは現場のNGOとリーダーの人たちで、私たちがしているのはあくまでも後方支援なので。だからいつも、Bannerにはかものはしのロゴ入れてくれなくていいよ、気持ちはいつも一緒だしみんなにそれ伝えなくても大丈夫!と言っているのですが、HELPが好意でまた入れてくれてしまいました。。。ので、次回からはかものはしのロゴ外してね、とまたお願いしました。

5/711:33

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

今、かものはしチームは急ピッチで緊急救援データベースを作成しており、その件だけはゴールデンウィーク中もずっと動かしていました。

227人に緊急支援をすることにした件は皆さんにもご報告したと思いますが、その227人の詳細のデータがあるので、それらを整理して、今後のアクションにつなげるため、7つのテーマの問いに応えを出すMIS(※1)を作っています。

今、Snigdha(※2)/Priyanka(※3)/Tomomiで手分けしてデータクリーニングを行い、データ入力作業も終わり、パートナー団体からの更なるデータ待ちです。これらが完成すると、

①この227人のうち、何人が配給カードをどういう理由でもっていなかったのか
②この227人のうち、何人がどれくらいの借金をしていて、利率と担保はどんな感じなのか
③どこでシステムの機能不全が起きているのか
④このロックダウンで、各世帯の減収はどれくらいで、どれくらいの人が職を失ったのか
などがわかるはずです。

あとは、227人の健康状態もわかることになっており、思った以上にHIV感染者割合が高いのと、メンタルヘルスの緊急度が高そうな人が多いことに、データを見ながら心を痛めています。

※1 MIS:情報システムのこと
※2 Snigdha:インド現地メンバー、Tafteeshのプログラムマネジャー
※3 Priyanka:インド現地メンバー、Survivors Leadership Programmeのプログラムマネジャー

5/89:37

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

一昨日、Utthanリーダーのひとり、Trishna(仮名)のbeautifulなストーリーがメディアに掲載されました。

https://www.vice.com/en_in/article/n7wjeg/survivor-account-forced-sex-trade-india-stigma

若者を対象としたメディアで、90万人の読者(ミレニアム世代、ジェネレーションZって。。。知ってます?)を抱えています。Trishnaがどういうプロセスで被害にあい、どういうプロセスで回復をし、Utthan(※1)をどうして形成したのか、ILFATがTrishnaにとって、どんな場所なのか、そんなことが、Trishna自身の言葉によって紡がれています(コロナによるロックダウンも大変だけど、そんなことには負けないということも入っています)。

この記事が掲載された後、みんなから「めっちゃいい記事だね」という反応があり、それに対してTrishnaが、「今回のインタビューにはとても感謝しています。ジャーナリストの人と、ILFAT事務局の人がとても深く自分の言葉に耳を傾けてくれて、自分が言いたいことのエッセンスをピンポイントでとらえ、文章にしてくれたことを深く感謝しています。本当にありがとう!」、とボイスメッセージを送ってきていました。

Trishnaは、2014年からずっとTafteeshのレビューミーティングにも参加していて、かものはしがずっと一緒に活動してきたリーダーのひとりです。Utthanの中でも前に出て発言をするリーダー格のひとりで、とてもはにかみ屋ですが、彼女のリーダーとしての成長の軌跡は目を見張るものがあります。

※1 Utthan:西ベンガル州のサバイバーリーダーグループ

5/810:08

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

実は、ゴールデンウィークに入る直前に、Utthanのもうひとりのリーダーから私のところに個別メッセージが来ました(何人かのリーダーたちは個別にやりとりをしてるんです)。彼女は、昨年結婚式に招待してくれたのだけれど、私の出張のタイミングが合わなくて、私は彼女の結婚式に出られなかったんです。そしたら「もう、ともみとは口きかないから!」ってめっちゃ怒られて。。。その後、かもインドチームのメンバーについてきてもらって彼女の家に行った、そんな関係です。そんな彼女から、「今、妊娠7か月で、食べ物がなくて。旦那さんも仕事なくなっちゃったからお金もなくて。病院もあいてたりあいてなかったりで、赤ちゃんに何かあったらどうしよう」って、連絡がありました。普段、そういう困ったことを助けてという連絡は彼女からはないので、そのメッセージをもらって正直焦りました。彼女、今回のロックダウンで借金もしていました。借金のかたに人身売買の被害にあったり暴力の対象になったり、ということは、インドではよくあるので、パニックになった私は、彼女の家に一緒に行ってくれたチームメンバーに相談して、とにかく何らかの形で彼女の家に食料を届けようと思ったわけです。でも、待てよ、私が個人的な感情で物事かき乱していいのか?お金がなくて、食べ物もなくて、おなかに赤ちゃん抱えて不安に思っているお母さんなんて、西ベンガル州だけでごまんといるのに、なぜ彼女にだけ?本当にそれは私のしたいことなのか?と。結局いろいろ思い悩んだ末、私は個人的な支援は見送ったわけですが、ゴールデンウィーク中ずっと彼女と赤ちゃんのことが気になって、重い気持ちで過ごしていました。

一方、彼女は、今回かものはしが緊急支援を送った227人の中に含まれていることを知っていたので、昨日、「どう、お金届いた?ごめんね、これが、今の私がしてあげられる精いっぱい」とメッセージを送ったら、こんな風に返事が返ってきました。

「心の底からありがとう。今日、銀行口座に振り込まれていました。あなたが私たちのことを想ってくれているということが、私に大きな自信をくれます。このお金で、自分と家族のための食料と薬を買います」

かものはしが送っている緊急支援はそういう風にも使われています。なんか、月3000ルピー(5000円程度)で何ができるだろうとも思うのだけど、借金の金額が5000ルピーとかで、年の利息が60%とか聞くと、3000ルピーを緊急支援として送ることは、彼女たちと次の世代がロックダウン解除後に人身売買の被害にあわないためには、クリティカルな支援なんだなぁと身に沁みます。

5/1111:00

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

おはようございます。先日送った緊急支援につき、Utthanのメンバーから感謝のお手紙をもらいました。こんな風に直接サバイバーリーダーたちから感謝のお手紙をもらって朝からほっこりしたので、皆さんにも是非読んでもらえるといいなーと思い、共有します。かものはしのインドチームも東京チームも、リーダーの支援やパートナーNGO支援、全力で頑張っていますが、サポーター会員の皆さまが温かくいろいろな形で支援してくださっていることが、このUtthanリーダーたち、そのほかのサバイバーリーダーたちが尊厳をもって生きることを可能にしてくれていることを、是非お伝えしたいと思いました。

かものはしチームの皆さんへ

私たち、Utthanのメンバーは、西ベンガル州北24区のレベルや、国レベル、国際レベルで、様々な形態の人身売買に関連する問題を解決するために活動しています。サバイバーリーダーとして、私たちは多くの方々に支えられながら、自分たちの生活を再構築してきました。そしてその闘いの中で、20人のメンバーが力強く活動しています。

私たちは、この、COVID-19感染症及びロックダウンが引き起こしている今の危機的状況に苦しんでいます。その間、かものはしのみんなの支援のおかげで、私たちは3月と4月の2か月分の追加月次給付金として2000ルピーを受け取りました。そして5月と6月もまたこの追加月次給付金を受け取ることができると理解しています。この4000ルピーの追加月次給付金で、私たちは生活に不可欠な食べ物を買い、他のどうしても必要なものを買うことができます。

私たちは、このコロナウイルスによって、世界中が苦しんでいるということを理解しています。日本もこのコロナウイルスによってたくさんの人が苦しんでいるにもかかわらず、かものはしがこの危機的状況の中で私たちのことを想ってくれました。物理的には近くにはいないのに、かものはしのみんなは、すべてのサバイバーリーダーが、心を強く持ち、尊厳をもち続けることを助けてくれ、そのことにとても感謝しています。

皆さんからの支援、無償の支援を私たちは決して忘れません。本日、Utthanのリーダー全員から、この手紙を通して皆さんに深く御礼を伝えたいと思います。

この手紙を受け取ったら教えてね。

本当にありがとう。
愛をこめて
Utthanより

5/1111:36

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

かもインドチームの居住地の周りもレッドゾーン、感染者が増えてきています。

①Snigdha(※1)の家から20メートルのところでクラスターが発生し、彼女の住んでいる地区はレッドゾーンに指定
②Priyanka(※2)の家の周り2地区がレッドゾーンに指定され、完全にロードブロックされた
③Saroj(※3)の実家(オリッサ州Ganjam区)も、これまで感染者0だったのに、突然125人の感染が確認された。ダイヤモンド鉱山などで働いていた出稼ぎ労働者が一日1000人単位で戻ってきており、その中の感染率が高いが、オリッサ州では受け入れ準備態勢が整っていない。Sarojの実家のすぐ近くが、帰ってきた出稼ぎ労働者の検査所になっており、お母さんをそこに残してきていることをとても心配しています

ということで、戦々恐々としてきています。

出稼ぎ労働者が家に帰ることを認めた、と、過去いつか報告したと思いますが、やっとその出稼ぎ労働者が家に帰るための電車が今日動き始めます。これにより、大量の出稼ぎ労働者がソース(出身村)の州に戻るので、一気に感染者が拡大する懸念が高まっています。。。。

※1 Snigdha...インドチームメンバー
※2 Priyanka...インドチームメンバー
※3 Saroj...インドチームメンバー

5/1216:03

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

STCI(※1)の代表から(ムンバイは最も感染者数が多い)

①スラムに住む人口の40%が明日どう食つなぐことができるかわからなくて困っている
②STCIは緊急救援のパケットを配っていて、今第2期に入った
③インド企業から受けてきた支援が打ち切られた。モディ首相基金というのがこの新型コロナで立ち上がったのですが、インド企業のCSRマネーは、モディ基金に使われることになったからという理由で支援打ち切りの連絡が続いている。
④ので、かものはしから緊急支援をしてもらえる可能性はあるか?

という連絡が来ています。

そのほかにも、インドチームのスーパービジョンコールを通じて、シングルマザーとしてこのロックダウンを経験することのしんどさ、実家の隣の学校が、出稼ぎから戻ってきた労働者の検査所になり、毎日1000人とかやってきては100人とか感染者が出ているときのパニック具合とか、そういうことをずっと半日聞いていて、私には何ができるわけではないのだけれど、頭の中がざわざわ、超絶スピードになっています。

※1 STCI ...Save the Children India

5/1413:19

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

さて。いろいろなことが私の周りで同時並行で起きています。

①緊急情報システムの構築
②ドナー協調のための調査と、様々な打合せ
③インドチームメンバーとの定例面談、様々な環境要因のなかでスピードを落とさざるを得ないチームメンバーへどうサポートするかを協議、考える
④サバイバーグループ内で起きている様々なダイナミックス
⑤5月末から始める、デジタルキャンペーンの準備

その中でも私が昨日の晩から青ざめているのが、緊急情報システムの構築で上がってきている借金データです。

今、データの精査中なのですが、昨日の速報値では、緊急支援対象の227人のうち、4割が何らかの形で借金をしています。銀行から借り入れている人も一部いますが、多くは村の中でお金を持っている個人や、質屋さん、プライベート機関などからお金を借りています。その金額は1,500ルピーから130,000ルピーにわたり、月利が0%~20%。月利20%ということは、年率の利息が790%になることを意味しています。日本では、法定年率が定められており、法律の目をかいくぐった最も悪質な金利でも年率365%と言われていますが、365%の年利息率は、どんな人であれ、どんなに頑張っても抜け出せない借金地獄のことを言うと教わりました。

Vimukthi(ビムクティ)(※1)が一緒に活動するセックスワーカーの中に、年率790%でお金を借りている人たちがいます。そのことを知って、やり場のない悲しみを覚えました。これを書きながら、やっぱり涙が出てきそうです。

この借金は、多くはロックダウン後に借り入れたものですが、一部、ロックダウン前から借りていて返せていないものを含みます。

借金を返そうと思っても、毎月返しているのは利息分だけで、全然借金が返し終わらない。そのうちに、借金が返せないなら、身をもって返せよ、ということで売られていく。おまえだけで返せないから、子どもよこせよ、ということで次世代まで取り込まれていく。あまりに法外な利息に、そして長年誰もそれに手を付けられずに、それによって様々な形態の人身売買を永久化していく構造に、泣きたくなります。でも、泣いてても始まらない。あまりに圧倒的過ぎてみんなが無力感を覚えるものだからこそ、この借金をしている女性たちと対話しよう。Roop(ループ)とUma(ウマ)(※2)と、静かな決心をしました。

※1 Vimukthi(ビムクティ)・・・サバイバーリーダーグループ
※2 RoopとUma(ループとウマ)・・・Tafteesh及びSLPの事業ディレクターメンバー

5/1414:00

早瀬 真理絵(日本事務所スタッフ)情報共有チャット


©KOLKATA SANJOG INITIATIVES
©PARTNERS FOR ANTI-TRAFFICKING (PAT)

インドのパートナー団体から、現場で踏ん張るソーシャルワーカーの「メンタルヘルスをケアするためのセッション」を行ったレポートが送られてきました。

下記はセッションに参加したソーシャルワーカー達の声です。

「ロックダウンはとにかく突然すぎた。サバイバーを本当に苦しい状況に陥れている。何人かの家に、緊急支援物資を置きに行ったけれど、少ししか持っていけてない。ほとんどのサバイバーから遠く離れてしまって、みんなのニーズに答えられない。ニーズはもっともっとある。サービスも物資も全然足りていない。私自身がロックダウンされ、ブロックされているよう。自分の健康や死、これからのことに不安でドキドキしている。色んなつながりから切り離され、浮遊しているようで、とても寂しい」

「なんの装備もなくみんなから切り離されてしまったようだ。どうやってみんなを集めてみんなとつながればよいのか?どうやってまとまってつながればいいのか?他の人から物理的に離れているのに、仕事や勤務時間からは離れられない。このロックダウンの状況で、自分の価値やパフォーマンスに疑問が浮かんでしまう。自分に対して厳しくなってしまう。自分の生産性やチームにおける重要性を証明するかのように働いている気がする。仕事を終え、ちゃんと働いているって証明しなきゃと思ってしまう。何もかも混乱しまくっている。」

ソーシャルワーカーそれぞれが色々な状況や感情を抱えていることが伝わってきました。

サバイバーを自分が願う通りにサポートできない、自分がちゃんと動けていない。そんなもどかしさを抱えているソーシャルワーカーも新型コロナのない時期とは格段に違うストレスや悩みを抱えているのだと実感しました。

こんな声もありました。

「時々とても寂しいときがある。サバイバーたちは自分たちの苦しさや問題を常に共有し合っていて、とてもつながっているように見える。みんなこの状況の中で連帯しているのが見えて、自分は外側からそれに関わり、その連帯が維持されるようにと働きかけている。65歳の自分にとって喜ばしいと思えるときもある。このロックダウン化の孤独が、zoomを使い、動画やボイスメッセージを送り、電話をコーディネートすることを学ばせてくれた。前には思いもよらなかったことだ。だから、決して希望がないわけではないよな、と思う。」

この状況の中で、自分自身に向き合い、サバイバーに向き合うソーシャルワーカーたち。そしてセッションを提供し、彼(女)らのメンタルヘルスとリーダーシップをサポートするパートナー団体。

その存在に「ありがとう」という気持ちと、そして応援のエネルギーを送りたい、そんな気持ちになりました。

5/189:48

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

金曜日はとにかく長い一日で、ものすごい盛沢山だったわけですが、Tafteesh(タフティーシュ)(※1)のメンバー主体で初のウェビナーを開催し(主に内部メンバー向け)、冒頭、各パートナー団体の現地における出稼ぎ労働者の状況についてシェアしてもらいました。

どのシェアも悲しくなるシェアでしたが、特にHELP(※2)の代表が、5歳や6歳の子どもたちが、高速道路をずっと歩いている(出稼ぎ労働者たちは家族で移動することも多いので、子どもたちも歩いて200㎞とか帰ってるのです)。おなかをすかせ、熱が出て、体調が悪くても歩くしかなくて、ほんとうにそれは見ていて心が痛む、と言っていたのが、ぐっと胃が痛くなる瞬間でした。

また、BUP(※3)のプログラムマネージャーが、村にいるサバイバーの状況もひどいけど、たどりついた出稼ぎ労働者たちの苦境は比べ物にならない。なぜなら、村にいるサバイバーたちは食べ物はない、お金はないといっても、ほんの少しはお金があるし、食料は配給カードでもらったり村の他の人たちとなんとか支え合っている。出稼ぎ労働者たちは配給カードも持っていないし、すべての財産を売り払いながらなんとか食いつないで家に帰ってきているから、本当に一銭ももっていない。それなのに村からは差別にあい、ひどい待遇だ、と言っていました。

※1 Tafteesh(タフティーシュ)・・・かものはしの主幹事業の一つ
※2 HELP・・・インドのパートナー団体
※3 BUP・・・インドのパートナー団体

5/1917:36

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

大型サイクロンが西ベンガル州の南24区を直撃するようで、今日はインド方面はとても静かです(みんな、それどころではないんだと思う)。

さっき現地から、嵐と雨が降り始めたと連絡がありました。Saroj(サロージ)(※1)の実家のオリッサ州ではすでに強風で停電が起きているそうです。サロージと、政府施設はほとんどが新型コロナの感染者隔離施設または検査施設になっているのに、ここが避難所になったら目も当てられないね、と沈んでいました。西ベンガル州北24区のパートナー団体の人からは「ダブル恐怖(コロナ感染とスーパーサイクロンによる大型被害)で、もうどうにもならない。もう、神しかこの状況は救えないよ」とメッセージが届きました。

※1 サロージ…インド現地メンバー

5/1917:45

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

昨日、Bandhan Mukti(バンダンムクティ)と、Vimukthi(ビムクティ)(※1)のメンバーが、ジャーナリストのインタビューを受けました。ロックダウンが理由で、性産業で働くことを強要されていないか、再度人身売買に遭う危機に面していないか、という質問があったのですが、二人とも、別々のところで、同じようにこう答えたそうです。

強要はされてないし、人身売買の被害に、今、直面しているという状況にはない。でも、このロックダウンが長く続くようなら、家族が食べていくためには、自分が前の状況に戻るしかないかなってよく思う。

これを見たとき、私はヒヤッとしました。。。

2013年に初めてGGBK(※2)のオフィスに行ったとき、私は初めてサバイバーの人たちに会いました。

その時に聞かせてもらった話の中に、食べていけないから私が働きに出ようと思った。その時にうまい口車に乗せられ、気づいたら売春宿だった、というストーリーがありました。

日本でいう高校生くらいの女の子が、なんとか自分の大切な家族の役に立ちたい、弟や妹を学校に行かせてあげたい、だから自分は働こう、と思うのって、日本でも一昔前、今もかもしれませんが、あったと思うんですよね。

本当はその女の子にも夢があって、やってみたいことがあるんだけど、それを我慢して働いてお金稼ごうと思った。その子の気持ちを思うと、それを踏みにじった人への怒りはもちろんあるけれど、その前に、そう思った女の子の気持ちってとっても切ないなと、私はそちらの方に涙が出てきます。

昨日のジャーナリストインタビューに答えた彼女たちがまた同じ立ち位置に立たされているのかと思うと、私は私でしっかりと今の場所で踏みとどまり、「ここにいるよ。話、聞くよ」というメッセージを発し続けたいなと思います。

※1 Bandhan Mukti(バンダンムクティ)とVimukthi(ビムクティ)…サバイバーリーダーグループ
※2 GGBK…インドのパートナー団体

5/2010:04

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

おはようございます。スーパーサイクロン・Amphan(アンファン)が、ベンガル湾に近づいています。昨今の中で最大級のサイクロンと言われ、昨晩BBCの報道を見ていましたが、国際赤十字の要員がインタビューを受けていました。バングラディッシュの村々で次々と住民を避難所に誘導している映像が流れていました。

その後くらいに、西ベンガル州北24区の、かものはしパートナー団体のひとりが送ってくれた映像が、あまりに。。。嵐で。。。雷が落ち、ヤシの木が燃えています。。。。

サイクロン上陸は昨日のBBCだと、今日の夜中と言っていましたが、一部報道では明日木曜日と言われています。GGBK(※1)からは(GGBKは災害対応機関でもあります)、みんな避難所に退避した、食料も避難所に十分あり、避難所の消毒も行われている、と連絡が来ています。

※1 GGBK…インドのパートナー団体

5/2013:43

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

ILFAT(※1)のクラウドファンディングで集めた金額は、11のサバイバーグループで均等に分けることに決まり(どの地域のサバイバーたちもこのロックダウンで厳しい状況に追い込まれているため、事務局がそういう意思決定をしてリーダーたちの合意を得て、早期アクションとなりました)、ひとつのサバイバーグループあたり49,941ルピーずつ受け取りました。Utthan(※2)では、5人のメンバーがここから1000ルピーずつ引き出し、自分がかものはしから受け取った追加月次給付金と合わせて、村の人に緊急支援をしています。

写真が送られてきた彼女たちの顔はとてもいい顔をしていて、なんか自信に満ち溢れていて、こういうのってすごいなぁ、と思ったんです。自分にもできることがある、自分も誰かの役に立っている、という自信。村で一人暮らしをしているお年寄り(特におばあちゃんたち)に、緊急支援食糧を、自分たちで買って、自分たちで歩いたり自転車使って届けまわっています。

また、違うUtthanメンバーはこんなメッセージを送ってくれました。

「区長さんに、私は意見陳情に行きたいです。出稼ぎ労働者はみんな帰ってきて、検査を受けて、感染していなかったので家に戻ってきました。そして、家でロックダウンされています。職を失い、収入を失い、家族の何の助けにもなれないという状況が、帰ってきた出稼ぎ労働者たちの心と体をむしばんでいっています。だから、区長さんと政府はなんとかしなければなりません。これらの出稼ぎ労働者が自分も誰かの役に立てるんだという感覚を取り戻せるように。出稼ぎ労働者たちは、様々なスキルを手に持っています。政府の制度(100日間働いたら政府がその分の賃金を払ってくれる公共事業制度)を使って、地元でできることがあるはずです。みんなが手に持っているスキルは、ジュエリーを作ったり、刺繍をするスキルです。彼らのスキルを活かして、地元を美しくするなど、なんらかのクリエイティブなことができる気がするんです。私の兄も、出稼ぎ労働者として、無事に家に帰ってこられた一人です。そして兄は自分が何の役にも立たないとずっと沈んでいます。だからこれは私自身の経験でもあります。」

このメッセージを送ってくれた彼女は、脳腫瘍があり、病院にいます。彼女は准看護師でもあり、病院で住み込みで働いているときにロックダウンが発生し、結局今日に至るまで家に帰れず、ずっと病院にいます。


クリエイティブな作品作りを通してアドボカシーメッセージを考える、という取り組みの中で、彼女は上記メッセージを送ってくれました

※1 ILFAT…Indian Leadership Forum Against Trafficking の略。インドで労働搾取・性的搾取・臓器提供の人身取引サバイバーリーダーたちがたちあげた全国連盟
※2 Utthan…サバイバーリーダグループ

5/2211:23

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

なんて書いていいのやら、と思案していたら時間ばっかり過ぎていきました。サイクロンは巨大な爪痕を残して去っていきました。南24区の被害状況はまだほとんどあがってきていませんが、現地パートナーであるGGBKの代表からから情報共有がありました。

「私たちの地域の状況は言葉を失うよ。インターネットはほぼつながらない、ある1社のネットワークだけなんとかつながっている。ちょっとずつ被害状況について情報が入ってきている。貧しい家庭の土でつくられた家はなくなり、インターネットの不通、食べ物不足、赤ちゃん用の食べ物の不足、音信不通、薬不足・・・育てている作物や動物たちは壊滅的な状況・・・

新型コロナで大変な状況な中、このサイクロンは歴史的な被害をもたらしている。沿岸の村は本当に大変だ。時間がたてば、状況を見に行けるだろう。これまでに72人がサイクロンの影響で死亡したそうだ。

GGBKのフィールド事務所は壊れてしまった。速やかな人道的支援が必要な状況だ・・・!」

今日もインドチームのほとんどのスタッフは働けなさそうです。電気の復旧が遅れており、携帯の電波塔も倒れてしまっているので、メジャーなキャリアは電波が入らないみたいです。インド現地メンバーの一人からは、マンションの給水ポンプが停電で止まっていて、あと数時間で水がとまりそうとさっき連絡がありました。

5/2222:00

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

最も被害がひどそうなのは南24区で、GGBKスタッフも、サバイバーリーダーもほとんど連絡がつきません。今日、やっとBandan Mukthiのリーダーのひとりから私のところに連絡があり、無事が確認できました。彼女はトラフィッカーの脅迫が酷くお姉さんの家にこのところずっと住んでいたので、助かったようですが家族と連絡がつかないといっていました。

西ベンガル全体で、サイクロンが到達する前に20万人ほど避難所へ避難していたということなので、多くのサバイバーリーダーたちは助かっているのだと希望を持っています。しかし、連絡がつかないことが、彼女たちが本当に無事なのか、どんな風に夜を過ごしているのか、待っているだけでしんどくなってきました。ソーシャルワーカーたちも被災しており、家族と長く連絡が取れなかった人、自分の家の修復を2日間かけてやっているけど、サバイバーが住んでいたところに様子見に行っては何もなくなっていて涙が止まらない人など、次々といろんな連絡が入っています。 西ベンガル州政府ですら、新型コロナウイルスなんて言ってられない非常事態と言っていますが、ソーシャルディスタンシングが難しくなることで新型コロナウイルスの感染拡大がさらに加速することを、私はとても懸念しています。また、これまで様々な形でみんなが苦労して築いてきた「Home」が一晩のうちに消え去り、ホームレスとなって放り出されたことに、ただただ私も含めて皆一同呆然としており、立ち直るのにかなり時間がかかるのではないかと予想しています。 あるパートナー団体のスタッフが、「COVID-19の時は、それでもなんとか、サバイバーリーダーに何かサポートをすることができた。今回はもう無理だと思うと、僕はすべてを失ったんだ」と言っていました。かける言葉も見当たらず、これまで新型コロナウイルスの中でも活動を牽引してきた他のインドメンバーも、それぞれの理由で大きく傷ついています。 明後日の日曜日、この地域に住むイスラム教徒にとっては、1か月の断食が明けたお祭り(イード)でした。すべてが水によって流されてしまったことに、言いようもない悲しみを覚えます。 西ベンガル州の脆弱さと、なぜ西ベンガル州が人身売買の被害者の発生源となるのか、この一連を通して身をもって思い知らされた気がします。

5/259:12

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

おはようございます。金曜日に、レスキューファンデーション(※1)を辞めて自分で団体を立ち上げたスタッフと話していて、なんか、悲しいね、悲しすぎるね、僕なんてもうもはやこの頃思考停止して何にも考えられないんだよ、みたいな話をしていました(サイクロンの件)。で、なんか2人でできないかね、いつもベンガル人たちにお世話になってるもんね、サバイバーも頑張ってるしさ、一緒に働いている人たちも今回被災者だしさ、って話をしたら、いいね、なんかやろうよ、プネ(※2)の弁護士とかも誘ってさ、という話になり、プネの弁護士2人(元レスキューファンデーション)とインド現地メンバー含めて5人で対話を始めました。長い、長い対話で、いつも無口な弁護士が、ぴりっとしたいいことを言ったりして、とても励まされました。その結果として、5人でベンガル語で、ビデオメッセージとして送ることになりました。

というわけで、週末はメッセージを考え、私の英語を被災していないインド現地メンバーの奥さんがベンガル語に翻訳してくれ、音声データまで送ってくれたので、私はベンガル語の練習をして、子どもたちとビデオをとりながらベンガル語を懸命にしゃべるという時間でした。発起人のスタッフが、何度やってもベンガル語うまくしゃべれないのに、ともみ、よくベンガル語の発音パーフェクトにしゃべれたね、と言っていて、彼のベンガル語を聞いたらなんかおかしくておかしくて。。。涙が出てきました。

今日、断食明けのイードのお祭りです。すべてが流されて、祝うものがなくなってしまったリーダーたち、ソーシャルワーカーたちを想うと胃がキリキリしているのですが、そんななかにあって、彼らたちとの時間はつかの間の息抜きとしてとてもエネルギーをもらいました。私が送ったメッセージの内容は以下の通りです。

Leaders from Bandhan Mukti, Bijoyni and Utthan,
Staff members of GGBK, PAT and Sanjog
Members of Kamo in Kolkata
Roop and Uma

At times, I realize I have no words to share
At times, I burst into tears when I see some photos and read stories from you
At times, I am at a loss where we will start and how we will start
At times, I become restless because I cannot communicate how closely I am feeling you
At times, all these thoughts are re-assessed as useless, because in front of such devastation, no words might reach your heart
And I go back to my own silence.

But, I have a wish. To listen to each other, to feel each other and to mourn the pain together, one day.
Happy Eid to all my Muslim friends.
Warm feeling and love to all of you.

※1 レスキューファンデーション...元パートナー団体
※2 プネ(Pune)...インドのマハラシュトラ州にあるプネー県の都市。この2人の弁護士はTafteeshで法的支援を一緒にしているメンバー

6/1916:00

清水 友美(インド事業部)情報共有チャット

サイクロン・アンファンの被害状況は甚大で、特にライフラインの復旧に時間がかかりました。今日の時点でまだ電気が開通できていない地域があることが、緊急調査からも明らかになっています。西ベンガル州の南24区、北24区で特に被害が甚大で、緊急支援が必要な世帯を調査した結果、192人のサバイバーリーダーたちがその対象と選定されました。192人のうち、家が完全に倒壊してしまったサバイバーが46.9%(90人)、部分的に破損したサバイバーが44.8%(86人)います。

西ベンガル州政府は、家を失った人に対し、ひと世帯当たり20,000ルピーの現金給付を決め(家畜に対する被害があった世帯はひと世帯あたり15,000ルピーの補償)、北24区ではすでにその現金を受け取ることができたサバイバーが出てきています。

パートナー団体も、それぞれクラウドファンディングを行ったり、地元のロータリークラブへ支援依頼をしたりして活発に被災者支援を実施してきました。今回、ソーシャルワーカーや、かものはしパートナー団体の事務所も被災していますが、自分の家の修復を後回しにしてサバイバー支援をしているソーシャルワーカーも多く、自分の家も倒壊したのに、政府への補償申請期間が過ぎていること忘れてたわ、と聞いたときにはとても悲しく思いました。どうするの、それ(汗)。。。と。

家が全壊したサバイバーには、Sanjogがイニシアティブをとって、かなり早期からブルーシートやそのほかの資材、食料などの支援がカルカッタから行われてきました。そのことを、私はとても心強く思っています。それでもなお足りないところについては、かものはしも支援をしたいと思っており、来週その内容を最終化する予定をしています。

年次報告書にも書きましたが(楽しみに待っててくださいね)、かもインドチームも今回かなり被災しました。自分が被災したからこそ、自分よりも被災状況が厳しいサバイバーリーダーたち、ソーシャルワーカーへの共感が強く、個人的に何かしたい!と立ち上がったチームメンバーがいたことも、私はとても誇りに思っています。

自分の知り合いから、「サイクロンの被災者に緊急支援を届けたいんだけど、どこに届けたらいいか知ってる?」と聞いた、かものはしのインドメンバーたちは、GGBKやPATのプログラムマネージャーと連携して、食料や薬、ベビーフード、サニタリーナプキンなどを南24区と北24区に届けました。

集まってきた物資を置いておく場所がないので、自分の家の一部を貸し出し、週末朝早くからトラックに積み込むなどしていた彼女。翌朝月曜日に、「もう、体中痛いわ。めっちゃ疲れたし」とこぼしていましたが、かものはしの支援とは関係のないところでもなんとか困っている人たちの助けになりたかった、彼女の切実な思いはとても純粋で「生」な気持ちだなぁと思いました。


かものはしのインドメンバーManashiと旦那さん

最後に

インド事業部 清水より

遠いインドで起きている悲しい状況や人間の温かさを感じる状況と、日本で私たちが感じていることは、そう遠くないことで、そうだよね、そういうことあるよね、という感覚を、読んでくださる人が思ってくださるといいなと願っています。「餓死」は、日本人には程遠い言葉のように聞こえるかもしれないけれど、今の外出自粛や飲食店、お洋服屋さんや様々なお店の営業自粛などを考えると、日本社会の中にも「明日なんとか過ごせるだろうか?」と不安になる状況はあるような気がしています。それでも、お金、全くないけど、もっと困ってる人見ると、ついついないお金でご飯買って届けたくなる、そういう人としての温かみ、そういうのが、今日をしのぐときの勇気になると、私は信じています。

そのためには、インドのサバイバーやソーシャルワーカーがどんなことを感じているのか、それを受け取った私は何がそんなに悲しくて涙が出てくるのか、どんなことが嬉しくて泣けちゃうのか、そういうことをそのまま皆さんにお伝えすることが大事だと思っていて、だから、文章を書くということをしているような気がしています。

そんな状況の中で、自分の家族の食料もどんどん先細っていく中でなんとか自分を整えながら、聞こえてくる悲鳴に支援を届けようとかものはしのパートナーたちは頑張っている。その一部にあなたも加わりませんか?っていうか、もう加わっちゃいましょうよ、みんなで、みたいな感じを、どこかでどなたかが感じてくださると私はまた涙が出てきてしまう気がします。

単なる数字以上の、現場が持つエネルギー、関わっている私たち全員の感情、そういったものを共有することで、世界をつないでいく。「私、わかるよ、その気持ち」。人の流れはとまっても、人がつながっていく、そんなこともおもいながら。