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#30

これまで育ってきた
力を信じて、
新たな一歩へ[お知らせ]インド事業終了に向けて

date2025.7.9

かものはしプロジェクトは、2012年に開始したインドでの事業を2027年3月をもって終了することを正式に決定しました。これまでの活動で育まれた「社会を変える当事者としてのリーダーシップ」を信じて、パートナー団体やサバイバー(人身売買被害者)たち、そして新たに立ち上がった団体「Torii」に、事業のバトンを託すことが、インドでの長期的な問題解決に向けた最善の選択だと考え、今回の決断に至りました。

インドでの取り組みと
成果

2012年からインドで「こどもが売られない世界」の実現に向け、法整備や被害者補償を進めるタフティーシュ事業、サバイバーの成長を支えるリーダーシップネクスト事業などに取り組んできました。

13年間の活動の中で、人身売買の捜査開始率の向上や被害者補償認定の拡大、サバイバーのリーダーシップの成長など、確かな成果が見られました。特に、サバイバーが社会を変える当事者として確実に成長し、リーダーとして力強く歩み始めたことは大きな希望となっています。

「国の仕組みを変える」挑戦と
直面した厳しさ

本事業は、2020年代に法制度の改善が進み、2025年度を目途に人身売買が減少することを目標に活動を続けてきました。しかし、2018〜2019年に人身取引対策に関する法案が議会で審議されたものの可決には至らず、有罪判決率は全国的に改善しませんでした。国際機関等の調査報告書等からもインドでの人身売買問題、特に性的搾取を目的とした取引は明らかな減少を見せておらず、人身売買問題の解決は道半ばという状況です。「国の仕組みを変える」挑戦の壁は大きく、私たちだけで目標を達成することの限界が見えていました。

「for」から「with」へ、
活動の変化

当初、私たちは日本で立てた戦略をインドに持ち込み、NGOが解決策を提供し、実行する「サバイバーのための活動(for)」という考え方を中心に問題解決を目指そうとしていました。しかし、事業の成長とともに、大きな変化が生まれました。サバイバー自身が主体的に声を上げ、計画・実行するリーダーシップを発揮するようになったのです。その声は政府や警察にも届き、社会を動かす力へと発展していきました。

このような変化を通じて、私たちの活動は「サバイバーとともに進める活動(with)」へと大きくシフトしていきました。「支援する・されるという関係を超えて、ともに学びあいながら社会を変えていく」―インド事業から得た大切な学びでした。

これまで育ってきた力を信じて
―決断の理由

サバイバー自身が社会の担い手となり、NGOの役割も変化する中で、日本から戦略を描き現地の変化を支えるという従来のアプローチでは不十分だと感じるようになりました。長期的な問題解決と持続的な変化を生み出すには、サバイバーたちや現地の仲間たちが自らの意思で挑戦を続けられる仕組みを育てていくことが重要だと考えるようになったのです。さらに、事業の複雑化に伴い、一度構築された支援の構造がかえって発展の妨げになり得るという実感も強まりました。現場の変化に柔軟に対応し、機動的かつ革新的な意思決定と運営を行うには新たな形が必要です。

何度も議論を重ね、事業評価や組織の振り返りを通じて、これまで育ってきた力を信じ、今後はサバイバー、パートナー団体、そしてインド事業を中心的に担ってきた清水とインド事業部メンバーが新たに立ち上げた「Torii」という団体に事業を託すことが最善であるという判断に至りました。

「尊厳を大切にしあう」
社会を目指して

これまでの活動により、約12億円のご支援を現地のパートナーやサバイバーに届けることができました。皆さまのあたたかいご支援に心より感謝申し上げます。

今回の決断に至ったことはさまざまな葛藤や苦しみを伴うものでした。それでも、この苦しさの中で出した「事業を終了し、バトンを託す」という決断が、今私たちにできる最善の選択だと考えています。今後も私たちは「尊厳を大切にしあう」という理念の実現に向けて、インド事業で学んだ大切な気づきを次の事業に生かしてまいりますので、引き続きぜひ力を貸してください。

date2025.7.9