子どもが売られない世界をつくる | 認定NPO法人かものはしプロジェクト

Feature Report特集レポート

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かものはしプロジェクトのミッションを変更しますだれもが、尊厳を大切にし、大切にされている世界を育む

かものはしプロジェクトのミッションを変更します だれもが、尊厳を大切にし、大切にされている世界を育む

年次報告書

2002年にかものはしプロジェクトが設立されてから、「子どもが売られない世界をつくる」をミッションとして、カンボジア、インド、日本で活動を続けてまいりました。最初は大学生の3人から始まった活動が、今では1万人を超える人々が仲間に加わってくださるほどの活動へと成長してきました。たくさんの方の応援とご協力のおかけで、今のかものはしプロジェクトがあります。

そして、これから私たちは新しいミッションを掲げ、新しい一歩を踏み出します。

Mission新ミッション

だれもが、尊厳を大切にし、
大切にされている世界を育む

はじめに

かものはしプロジェクトは「子どもが売られない世界をつくる」を掲げて、カンボジアやインドを中心に活動をしてきました。活動開始から約20年。世界中のたくさんの方の努力と活動が実を結び、子どもが売春宿に売られることは少なくなりました。この分野において、世界はかつてより、良くなりました。これまで、力を貸していただいたすべての皆さんに心から感謝をします。そして、ともに成果を喜び合いたいと思います。

かものはしの、これからについて

20年が経ち、活動を続ける一方で、どうしても目を向けなければならない存在がありました。日本です。私たちがこれまで向き合ってきた国々に比べて、経済的に豊かであるにもかかわらず、昨今私たちが目にしているのは、子どもへの深刻な虐待や、子どもをとりまく貧困など、悲しい現実の数々でした。今、これらの現実に取り組まないわけにはいかないという気持ちが自然と湧き上がり行動をはじめました。そして、きっとそれは、世界中の社会が抱える根本的な課題にも通じている。そう考えるようになりました。

では、カンボジア、インド、日本あるいはこの地球社会において、かものはしプロジェクトは、どんな根本的課題にフォーカスすべきか。これまで長く社会課題に取り組んできた上で、身に染みて感じることがあります。それは、独立して解決できる社会課題はない、ということです。「子どもの人身売買」も「虐待」も「貧困」も、それらをとりまく様々な社会の状況と結びついていて、シンプルな解決方法はありません。虐待をとってみても、たんに虐待する人をつかまえればいいという話ではありません。大切にされない子どもの隣りには、他者を大切にすることが難しい親(大人たち)がいる。そうさせてしまう社会の仕組みがある。それらすべてに、包括的に目を向けなければ、うわべだけの、もしくは一時的な解決にしかなりません。ならば私たちは、どんなに難しくとも「本質」に向き合い、根本的な解決につながることをやらなければ、そう強く思いました。

取り組むべき本質は「尊厳」

子どもの虐待や貧困をはじめとした、理不尽な社会課題の背後にある本質は何か。カンボジアやインドでの人身売買の現場で直面し続けた経験、被害者や最貧困層の女性たちに、生きるためのライフスキルやリーダーシップを身につけてもらうプログラムを行ってきたこと、それらの現場経験から政府や社会に提言をしてきたこと、さらには、活動をする中で、仲間同士の葛藤や、自分たち自身への疑いや無力感を体験したことも踏まえて話し尽くし考えを尽くし、「尊厳」という言葉に行き着きました。

だれもが生まれながらにして持っている、人としての「尊厳」を、だれもが、お互いに大切にしあえる社会をつくる。子どもでも、大人でも、どんな属性であろうと、どんな環境で生まれようと、この世界に生まれてきた限り、「その人が、人として大切にされる社会と心」をみんなでつくりあげたい。人間は多様であり、人も国も組織もいつもぶつかり、分断していくということを考えれば、とても難しいゴールにも感じますが、私たちの社会が抱えるきっといちばんの課題だからこそ、やらなくてはならないし、やりたいと強く思っています。そして、必ずしも夢のようなゴールではないとも思っています。

プロセスをつなぎ、育てエコシステムをつくる

かものはしプロジェクトは、このいちばんの本質=「尊厳を大切にしあう」という視点に立って、子どもの虐待、貧困、人身売買、戦争、性差別といったいろんな事象にアプローチをしていきます。日本や世界の各地には、虐待にせよ、貧困にせよ、戦争にせよ、課題解決のために働き、ノウハウを積み重ねてきた組織や団体があり、個人がいます。ただ、そこに力が行き渡っていなかったり、連携が取れていなかったり、さらには、立場の異なる組織や個人がぶつかり合う結果となり、問題解決への力が削がれていたりします。そんな中でこそ、私たちかものはしプロジェクトが、困難な現実の中で積み重ねた経験やノウハウが活きるはずです。対話を重んじるコーディネーションやファシリテーションによって、違いや対立を乗り越え、力をつなぎ、育て、包括的な課題解決のための(つまり、みんなが尊厳を大切にしあう社会へと向かう)「エコシステム」を育むことが、私たちのやるべきことだと考えています。

尊厳を大切にしあう強くやさしい社会を

私たちの目の前には、虐待やいじめや貧困といった課題がいまだにあります。そんな状況だからこそ、みんなが自分のことを好きと思えて、他者にやさしくいられる社会を次世代にのこしたい。尊厳を大切にしあう意識が、私たち一人一人から始まり、みんなへと広がり、当たり前となった社会を受けつなぎたい。そのために力や知恵をみんなで出し合いながら進めていきたい。本質的な問いである分、いっしょに悩みながら進むプロセスでもあると思います。そして、だれもが相手を思い、尊厳を大切にするやさしい社会をかなえていくために、まず自分自身を大切にすることも忘れずにいたいと思います。その先にある最終的なゴールは、だれもが、お互いの尊厳を大切にしあうことで、「不条理の連鎖を癒し、みんなが共に生きるエコシステムの共創」です。

すべての人が自分自身のことを大切にし自分の人生を歩むことができる、他者とぶつかったときにそれぞれの違いを受容することを通じてお互いを大切にできる、そんなことが自然とできるような、強くやさしい社会を目指して。ここに、この言葉を掲げ、みんなで進んでいくことを宣言します。

どうか、これから、より一層皆さまのお力をお貸しください。
未来は自分たちの手で変えるもの、変えていけるものだと信じています。

かものはしプロジェクト一同

この変更に伴い、かものはしプロジェクトの定款に定める「目的(定款第3条)」は
以下のように2022年6月総会にて変更されました。

【現在】

この法人は、世界中の子どもや若者達に対して、強制的な商業的性的搾取を中心とした児童労働、人身売買の被害にあうことを防止するための事業を持続的かつ発展的に行い、より多くの子どもや若者達が未来への希望を持って生きられる世界を実現させることを目的とする

【変更後】

この法人は、だれもが、尊厳を大切にし、大切にされている世界を育むことを目的とする

「だれもが、尊厳を大切にし、
大切にされている世界を育む」
新しいかものはしを
ぜひ応援していただけませんか?

年次報告書