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「支援者を、ひとりにしない」ことが若者の未来を守ること。全国ネットワーク「えんじゅ」が目指す、血の通ったセーフティネット

date2026.3.9

writer越智萌

いつも、かものはしプロジェクトにあたたかい応援をいただきありがとうございます。
アフターケア事業部の越智です。
先日のインタビュー記事では、私自身の個人的な想いをお話ししましたが、今回は、2024年に京都で開催された「えんじゅ年次大会」を振り返り、なぜ「えんじゅ」がコミュニティやネットワークづくりを大切にしているのかについてお話ししたいと思います。

全国ネットワーク「えんじゅ」:親や家族に頼ることができない人たちをサポートする団体の全国ネットワーク。かものはしプロジェクトは、えんじゅの事務局を担っています。(詳細はこちら

「困ったときに、あの人の顔が浮かぶ」という関係性の種まき

えんじゅ年次大会とは、加盟団体が一堂に会し、支援に関する研修や情報を交換するだけでなく、グループワークで、活動への思い・課題を持ち寄り、共に考え学び合う場です。(2024年のイベントレポートはこちら

2025年の年次大会には、全国から133名の支援者が集まりました。
あの2日間で私が確かに感じたのは、「私たちは一人ではない」というホットなつながりです。支援の現場は、正解のない問いに立ち向かう孤軍奮闘の日々です。だからこそ、あの場では、「あ、一人じゃないんだ」と自信を取り戻したり、力が湧いてくる瞬間、会場の温度が一段上がっていくのを感じました。

あの場で起きたのは、単なる情報交換ではなく、「困ったときに、あの人の顔が浮かぶ」という関係性の種まきだったのです。

全国から133名の支援者が集い、会場はすごい熱気に包まれました

「若者は動く。だから、私たちもつながる」—ネットワークの真価

なぜ、えんじゅのような地域を超えた団体間の連携が不可欠なのか。それは、「若者は移動する」という当たり前の、けれど切実な現実にあります。

例えば、ある地域で一歩を踏み出した若者が、進学や就職で別の街へ引っ越すとします。これまでの支援の形では、その瞬間に「つながり」がプツンと切れてしまうことが少なくありませんでした。そのため、新しい土地で壁にぶつかったとき、誰に頼ればいいかわからず、一人で抱え込んでしまう。

「えんじゅ」の真価が発揮されるのは、実は事務局が知らないところで起きる「現場同士の越境」です。

「えんじゅ」の力が動いた瞬間

「担当していた若者が、そちらの街へ引っ越すことになった。彼にはこんな特性があって、今はこんな壁にぶつかっているんだ。力を貸してくれないか。」

えんじゅのコミュニティで顔が見える関係になっていたので、若者のこれまでの歩みを丁寧に共有し、空白の時間を作らず、次に若者が暮らす地域の団体へと繋いでいく動きが生まれていったのです。

「あそこのスタッフなら、君のことをちゃんと分かってくれる。私もよく知っている人だから大丈夫だよ。」

そう言って笑顔で送り出せることは、若者にとっての大きな安心感につながります。そして同時に、送り出す側の支援者にとっても「自分の手を離れても、あの仲間が繋いでくれる」という、救いになるのです。

ネットワークがあるからこそ、若者がどこへ行っても社会の網の目(セーフティネット)からこぼれ落ちない。「つながりのバトンを全国でつなぐ」ことこそが、えんじゅがネットワークである最大の意義です。

お互いの悩みや葛藤も共有し、聞き合えるグループトーク

「支援者自身」を支えるための、セーフティネット

ここで強調したいのは、このネットワークは「若者のため」であると同時に、「支援者自身が健やかに活動を続けるための命綱」でもあるということです。

支援の現場は時に過酷です。 一生懸命に向き合っても届かない想い、解決できない制度の壁、そして自分自身の心の摩耗。一人で抱え込んでいると、いつの間にか「自分がダメだからだ」と自らを責め、燃え尽きてしまうスタッフも少なくありません。

えんじゅが掲げる「支援者を、ひとりにしない」 という言葉には、二つの意味を込めています。

  1. 若者を孤立させないこと。
  2. 支援を仕事にする私たちが、孤立して折れてしまわないこと。

「最近こんなことがあってどうすることができるか考えてる」「何をすることが正しいのか分からなくなってきた」と、支援者としての弱音を吐けるセーフティーネットでありたいと考えています。私たち支援者が健やかでなければ、若者の手を持続的に握り続けることはできないからです。

年次大会のちょっとした待ち時間にも支援者同士の情報交換がなされていました

「効率」よりも「体温」を。事務局が「顔が見える関係」にこだわる理由

事務局として、私たちはあえて「効率的なシステム構築」以上に、「泥臭い、顔が見える関係性」にこだわりたい。マニュアルやプラットフォームがあれば、情報は流れます。しかし、本当に苦しい時、支援者が最後に頼れるのは「システム」ではなく「知っているあの人」です。「えんじゅのサポートがあるから、もう一歩踏み込める」という声を聞くたびに、この温度感こそが現場のリアリティを支えているのだと実感します。

次回の年次大会に向けた会議でも、メンバーからは「もっと深く、具体的な現場の悩みまで共有できる場にしたい」「成功事例だけでなく、失敗を笑い飛ばせる連帯が欲しい」という熱い意見が飛び交いました。システム上の「支援団体一覧」では、心は守れません。しかし、一人一人の顔が見える関係には、血が通い、空気も通り、より確かなつながりになっていきます。

2026年の年次大会は埼玉で開催。実行委員会のメンバーと共に準備を進めています。

これからの景色:支援者をひとりにしない、その先へ

私たちが目指すのは、「支援者が、支援者であることを誇りに思え、健やかであり続けられるコミュニティ」です。

「つらいも よかったも いっしょに」

この言葉は2024年に作ったえんじゅのスローガンです。若者に対してだけでなく、私たち支援者自身に向けた約束でもあります。日々向き合い続ける中で、誰にも言えない葛藤を抱え、ひとりで悩み燃え尽きてしまうこと。それは、その先にいる若者へのサポートの灯が消えてしまうことを意味します。だからこそ、私たちはこれからも、ネットワークの網の目をより細かく、より温かく編み直し続けます。

今回の年次大会を経て見えたのは、団体という「ハコ」同士のつながりを超えた、支援者一人ひとりの「顔」が見える関係が、ネットワークにあることの強さでした。 得意なこと、苦手なこと、大切にしている価値観。そんな「その人らしさ」を互いに知っているからこそ、厳しい環境にさらされがちな若者と手をつなぐことができ、支援者自身の「社会資源(頼れる選択肢)」が広がっていきます。

「支援者支援」という言葉は少し硬いかもしれませんが、日常に帰っても、ふとした瞬間に全国の仲間の顔が浮かび、「あの人も頑張っている」「あそこに相談すれば大丈夫」と思える。そんな心の安全基地を、私たちは育てていきたいのです。

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今あなたにあった方法でぜひご参加ください!

writer

越智萌アフターケア事業部

若者やその支援者を取り巻く環境が、より寛容でつながり合うものであってほしい。そんな社会の必要性を、家族に頼ることが難しい若者たちと関わり合う中で強く感じ、かものはしプロジェクトに参画しました。
旅をすることが好きで、ドライブをしたり、瀬戸内の島々を巡ったり。いつか四国八十八ヶ所巡りを結願させたいと思っています。ただ、最近は「移動疲れ」というものも覚えました(笑)