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イベント報告

「駄言を学ぶ会」〜「駄言辞典」から考える、無意識につくられる社会の問題〜

いつもかものはしプロジェクトの活動を応援して下さりありがとうございます。

かものはしプロジェクトインターンの大野です。

かものはしプロジェクトでは2019年からサポーター会員の皆さまと一緒にひとつのテーマをもとに対話をするイベント、「かものはしダイアログ」を続けています。

今回は、9月18日(土)にオンラインで開催されたダイアログについて、ご報告させていただきます。

今回のテーマは「駄言を学ぶ会」〜「駄言辞典」から考える、無意識につくられる社会の問題〜。

この「駄言」という言葉、聞いたことはありますか?

駄言辞典の中では、「駄言」とは以下のように定義付けられています。

「『女はビジネスに向かない』のような思い込みによる発言。特に性別に基づくものが多い。相手の能力や個性を考えないステレオタイプな発言だが、言った当人には悪気がないことも多い。」

例えば、「女のくせに偉そうだ」「男のくせに泣くな」「家事、手伝うよ」のようなジェンダーバイアスがかかった発言のことなどを言います。

駄言辞典の出版のきっかけは、日本社会の多様性を阻むステレオタイプの撲滅を目指して、日本経済新聞社と日経BPが展開している「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」が始まりだったそうです。

実際に駄言の募集を開始した、2020年11月の日本経済新聞の紙面でのキャッチコピーがとても興味深いので、皆さんにご紹介します。

心を打つ「名言」があるように、心をくじく「駄言」もある。
「#駄言辞典」を付けて、駄言にまつわるエピソードをつぶやいてください。

まとめたものは、絶版を目指して出版します。

 


(本画像)リンク『駄言辞典』日経BP、日経xwoman 編

今回はゲストに本書の編集者である日経BPの小田舞子さまをお迎えしてオンラインイベントを開催しました!

 

■「駄言辞典」にこめられた思い

会では、まずはじめに、「駄言辞典」を作られた小田舞子さまから、
その背景についてお話しをしていただきました。

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この駄言辞典には、思い込みの発言による古いステレオタイプに縛られずに、一人ひとりの自分らしさを尊重される社会をつくりたい、という願いが込められています。

私たちは「女はビジネスに向かない」のような、思い込みの発言を私たちは「駄言」と名付けました。そして、「駄言」の募集を始めると、1200個もの駄言が集まり、世の中にはびこる多種多様な駄言の存在が明らかになりました。

そして、この駄言をみていくと6つのカテゴリーに分けることができました。

・女性らしさ
・キャリア・仕事能力
・生活能力・家事
・子育て
・恋愛・結婚
・男性らしさ

私が駄言辞典を通して実現したかったことは、自身のライフミッションでもある「日本のジェンダーギャップを解消すること」そして、大切にしている言葉

「The personal is political(個人的なことは政治的なこと)」のように、個人的な問題と社会構造が繋がっているということに気づいてもらうため、そしてアクションのきっかけになってほしいという願いもありました。

また、あるとき集まった「駄言」を見ながら、「駄言辞典」を編集していると、ふいに涙が流れてくることがありました。そして、長い間、気分が落ち込んでしまったことがありました。

そのとき、日々、多くの「駄言」に触れる中でいつのまにか「これまで駄言を言われてきた人たちの悲しみ」が蓄積し、この涙になっていると気がつきました。
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お話を聞いて、投稿者の皆さんの想いに寄り添い、集めて形にしてきた小田さん自身が「早く絶版になってほしい」と願うという構図に、あらためて、小田さんの強い願いを感じました。

 

 

■「駄言」を見つける・経験した「駄言」

次に、少人数のグループに分かれ、自身が経験した駄言を参加者の皆さまと共有し、身の回りにある「駄言」を見つけたり、自分自身で経験した「駄言」を話しました。

グループで共有をした参加者の方からは、

「自分の中で長年当たり前と思っていたことが、必ずしも世間や他の人の当たり前ではないことに気付いた。」

「経験した駄言を共有したことで、他の方からアドバイスをもらえた。」

「自分自身が『駄言』を言ってしまう立場だから、どんな風に伝えたらいいのか悩んでいた。でも、相手がどう思っているのかきちんと聞くことで、まずはわたしから変わっていきたい。」

などの声があがりました。

それぞれ異なる背景をもつ参加者でしたが、お互いに共感し合ったり、アドバイスをしたり、自分自身を振り返ったりと、経験した駄言を話すことで生まれる学びや気づきがありました。

 

 

■「駄言」へのひとり1アクション

最後に、今後「駄言」に出会った時にどのような行動をとるかのひとり1アクションを共有しました。

「笑って流さず、傷ついたことを伝える」

「言葉を選び、相手に寄り添う気持ちを持つ」

「駄言を言ったら”謝る”を社会のマナーとして広める」

一人ひとりの発表に、参加者同士大きく頷き合って聞いておられる皆さまの姿が印象的でした。

例え小さなリアクションだとしても、意思のある「駄言」への向き合い方で、今後の流れが変わっていく!という意識が、それぞれのアクションの共有から感じられました。

 

■自分らしくいられる社会へ

ダイアログに参加した多くの方が、これまで「駄言」を言われたり、言ってしまったという経験がありました。だからこそ、これから「駄言」に出会ったときはどういう対応をしたいのか、という最後の話には、それぞれの強い思いが込められいるようでした。

私自身、自分の「こうでありたい」という気持ちと、周りからの「こうであるべき」という意見にギャップを感じることもあったのですが、大抵の場合、聞かなかったことにして避けて生きていました。

しかし、今回ダイアログに参加して、今まで経験してきたことを参加者の方々と立ち止まって考え、共有することで、心の底にあったモヤモヤとした気持ちが晴れた気がしました。

また、参加者の方々の力強いアクションに励まされ、私も声に出して伝えてみようと思いました。

「女性らしく」「男性らしく」「親らしく」「長女らしく」と、周りに決められた「らしさ」ではなく一人ひとりの個性が尊重され、「自分らしく」いられる社会になってほしいです。

かものはしプロジェクトでは、支援者の皆さまとの対話をしながら、ともに問題解決を目指していきます。

(「駄言」は引き続きこちらで募集しています。駄言辞典|NIKKEI UNSTEREOTYPE ACTION

 

■最後に…小田舞子さまからのメッセージ

かものはしプロジェクトの皆さんのおかげで、
素晴らしい皆さんとのダイアログの場に参加させていただき
本当にありがたい気持ちでいっぱいです。

『#駄言辞典』を出版するにあたり、
こんなふうに議論の輪が広がっていったらいいな、とイメージしていたことが
そのまま実現できたような時間でした。

ご参加くださった皆さん一人ひとりのご発言に
大きな気付きがあり、学びがありました。

今回、こうした場をご企画くださった
かものはしプロジェクトの皆さんに改めて感謝致します!

これからも皆さんと心でつながっていけたらと思っています。
このたびは誠にありがとうございました。

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