「社会を変える」を一緒につくりませんか。
〜第1回かものはしゼミ開催レポート 〜
みなさん、こんにちは!ソーシャルコミュニケーション部の樋山です。
10月1日から、「かものはしゼミ」という新しい試みが始まりました!
今回のゼミは一般社団法人サステナビリティ・ダイアログの皆さんにご協力いただき、共同運営をしています。
「社会を変えるを一緒につくる・やってみるに挑戦してみる」そのための入り口として「対話の練習をはじめる」「みんなの生きづらさから考えてみる」ということを全7回実施します。
第1回目のゼミの様子について、運営スタッフの反町恭一郎さん(きょうちゃん)にレポートをしていただきましたので、ぜひご覧ください。
一般社団法人サステナビリティ・ダイアログの反町恭一郎です。ここでは、2021年10月1日に行われた、その第1回の様子について、運営チームの反町恭一郎(きょうちゃん)の目線からお伝えします。
かものはしプロジェクトは、2002年の設立から、もうすぐ20周年を迎えようとしています。この大きな節目を迎えるにあたり、新たなチャレンジが始まろうとしています。それが「かものはしゼミ」です。
その始まりに先立ち、かものはしソーシャルコミュニケーション部の真希子さんからお呼びかけがありました。ぜひご本人の言葉でご覧ください。
これまで、かものはしは、社会問題を「知る・わかる」の先にある、サポーターの皆さんと「一緒にやってみる」というチャレンジに取り組んだことがありませんでした。
また、私自身も、社会に対して「えいやっ」とやってみる経験が、実は少ないぞということに気づきました。社会問題に対して思うことはあるし、生きづらさやモヤモヤすることもあるけれど、「問題があるよね、しんどいよね、無くしたいよね」だけで終わっていました。
このゼミを準備するにあたり、夢を描くためには力をつけていく必要があること。また、やりたい・やってみるためには、練習することが大事なのだと学んでいます。そして、そのためには、どうやら「対話」なるものが重要そうだということもわかってきました。
そこで、一般社団法人サステナビリティ・ダイアログの皆さんと協力して、今回の場を立ち上げることとしました。一緒に学び成長する、「みんなで社会を変える」にチャレンジしていきましょう!
こうして、多くの笑顔と拍手とともに「かものはしゼミ」の幕が上がりました。
■「かものはしゼミ」とは?
「かものはしゼミ」は、ともに社会を変えていく力とつながりを育むため、あらたに立ち上がった、オンラインでの参加型の学びの場です。事前に募集した(告知から数日でキャンセル待ちになるほどの反響がありました!)、全国からサポーター会員の皆さん、インターン生、スタッフを含め、およそ50名が参加しています。
第1期となる今回は、2ヶ月にわたり全7回の「ゼミ」が開催されます。それ以外にも、終了後に希望者がテーマごと集う「放課後」、別日のお昼時に行われる「オープンオフィスアワー」、そして、ゼミの外でもゼミ生のみが入れるチャットアプリなど、とにかく「自由に語りあい、つながる」ための仕掛けが盛りだくさんです。
■コンセプトは「土づくり」
まずは冒頭、企画運営チームを代表して、ホストの牧原ゆりえからみなさまへメッセージがありました。
私たちひとりひとりには、大切な想い、社会をよくしていきたいという気持ち、様々なアイデアがあります。でも、そんな可能性のタネは、「いい土」がなければ、なかなか根を張っていくことが難しいことがあります。だから、このゼミでは、私たちひとりひとりが「タネ」であると同時に、お互いにとって「いい土」になりませんか。お互いの想いを聞きあい、安心して自分らしく、想いが根を張っていけるような関係性…「夢をつくる/叶えるための関わり方」を育んでいくことにチャレンジしませんか。
■問題をなくすことと、夢をつくること
話し合いやワークを進めるプロセスには、様々なやり方があります。ここでは、大きく分けて「問題をなくすこと(課題解決)」と「夢をつくること」を分けて考えました。
課題解決は、絵にするとこんなイメージです。
ランニングマシーンに乗って、一生懸命走っている人を想像してください。その人が「つらい、大変だ」「もっとがんばらなきゃ…」。そんな時に「もっと早く走って、頑張って」という声かけは、その人はハッピーにするでしょうか。
そこで、「あのランニングマシーンが原因だ」と、人を苦しめている仕組みを明らかにし、名付けること。そして、その人が安全にそこから降りたり、その仕組み自体をゆるめたり、止めたりすることが、問題をなくすために役に立ちます。
一方で、「夢をつくる/叶えるための関わり方」とは、どのようなものでしょうか。それは、すでに備わっている力を自覚すること、すでに開かれている可能性に目を向けることから始まります。私たちは、しばしば「まだないもの」に気を取られ、つい「既にあるもの」を見落としがちです。まして、自分ひとりでは、気づきづらいですね。
もし私たちが、ランニングマシーンの上を走っている人の話を、そして、お隣さんの話を聞きあい、既に持っている力や可能性に気づくことを支えあえたなら、何が起こるでしょうか。
このゼミでは、これまでかものはしが培ってきた「課題解決」のプロセスを土台にしながらも、「あ!自分にはあるんだ」と、自分の内側にある「たね火」を見つけること、そして、それを共に育てていく中で、夢に向かってアクションや大きな流れが生まれていくことを目指しています。
■みんなの声
こうした呼びかけに対して、参加の皆さんからはこのような声が聞こえてきました。
はじめは、あたらしい取組みであり、はじめまして同士の方も多い中で、少しこわばったような表情、横を気にしているような様子が私には画面越しに感じられていました。
しかし、何度か小グループに分かれて話していく中で、少しずつ笑顔が増えていきました。最初はビデオ通話の画面を切っていた人もいましたが、途中から「画面をオン」にする方、チャットの数も増えていきました。
■お稽古をはじめる
そして、いよいよ「夢をつくる/叶える関わり方」のお稽古のはじまりです。対話に関するレクチャーのち、いくつかのワークを行いました。自分たちのコミュニケーションのクセに気づき、よりよいやり方を探りました。
参加の皆さんが残した気づきのノートの一部がこちらです。
「刺激になりました」「勉強になりました」などの感想や、「正しい・間違い」「こうすべき」など理論や規範に関する発言は、聞こえてきませんでした。
このゼミには、頭でわかるだけではなく、「やってみよう」という呼びかけに応えた人たち、そして、学びに開かれた態度を持つ人たちが集っているのだと思いました。
■体験から「よりよい関わり方」や「力」に気づき、積み重ねていく
放課後、参加者やスタッフとのふりかえり会で、私からこのような質問をしました。「今日のゼミの間で、みんなの表情やふるまい、雰囲気が変わった瞬間がありましたか」「どのように変わりましたか」。
いくつかの答えが寄せられましたが、「”お花のワーク”をしたあと」に、「わかりあえなくて当たり前は楽だ。すがすがしい」「場の雰囲気、みんなの顔つきが変わった」「ぐっと仲良くなれた」などの声が多くありました。
今回のねらいは、サポーター・スタッフの境目を超えて、夢をつくる/叶えることに役立つ関わり方・つながりの質を育みはじめることです。そのためには、ホストによるレクチャーそのものよりも、体験をしてみて、ふりかえり、気づきをわかちあうことが機能したようでした。
また、今回歓迎された、あたらしい関わり方は「聞く」ことだったようです。この2文字は、当日の発言やログで、もっとも多く繰り返されました。
さらに、今回のゼミを通じて、私が感じた参加者の皆さんの力・強みは以下です。
1誘われたらとりあえずやってみる
2わからなくても「乗っかってみる」をやってみる
3テキスト化してみる(言語化が早い)
4楽しかったら笑う、楽しくなかったら笑わない(正直な人たち)
5チャレンジを受けてたつ(試されることが好きな人たち?)
これはあくまで観察に基づいて、「私にはそのように見えました(ジャーン)」ということです。
なお、「今までに聞いたことのない言語ばかりで、脳がフル回転だった」、「ビジネスの世界でいつも聞いている話し方でないので、ついていけないかも。」、「蓋を開けてみたら、参加者としてかものはしのスタッフがたくさんいて正直びっくりしました」などのコメントからは、参加の皆さんの中には驚いたり、怪しんだり、たじろいだ方がいたことがわかります。
それでも、しっかりその場に身を置いて、新しいことに向き合っている方が多くいたように見えました。こうして、私たちにとって「よりよい関わり方」や「力」、「強み」が発見され、積み重なることで、このゼミが今後さまざまなチャレンジを一緒にするための基礎になっていくのを、心から楽しみにしています。
■「社会を変える」を一緒につくりませんか〜知る・分かるのその先へ〜
こうして、「かものはしゼミ」がはじまりました。この「土」で、多くの「タネ」が根を張り、果実を実らせていくのだと思います。ぜひあたたかく見守ってください。そして、いまお読みのあなたとも、いつかこのゼミでお会いできるのを楽しみにしています。
さあ「社会を変える」を一緒につくりませんか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
<ライター紹介>
反町恭一郎(そりまち・きょういちろう)
筑波大学社会言語学・会話分析修了。教師、ミュージシャン、自治体職員を経て、WORKARTS合同会社クリエイティブディレクター、一般社団法人サステナビリティダイアログ組織開発ディレクター。「参加型」をキーワードに、福祉・環境・防災など、主に公共分野で多様なステークホルダーの対話と協働を支援している。
樋山 真希子Makiko Hiyama
ソーシャルコミュニケーション部シニアスタッフ
学生時代に見た映画「闇の子供たち」に大きなショックを受け、一度「児童買春」という社会問題からから目を背けたものの、社会人を経てもう一度この問題とちゃんと向き合いたいと思い、2016年にかものはしプロジェクトに参画。子どもとカレーが大好き。