子どもが売られない世界をつくる | 認定NPO法人かものはしプロジェクト

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日本

誰もが生まれてきて良かったと思える社会を目指して~日本事業の活動報告~

活動を応援して下さっている皆さまへ   

共同創業者の村田早耶香です。

いつも当団体の活動を様々な形でご支援下さり、誠にありがとうございます。

皆さまからのあたたかいご支援のおかげで、インド、日本ともに活動を前に進めることができています。

今回は、応援してくださっている皆さまに、日本事業の活動の進捗をお伝えしたいと思い報告を書きました。試行錯誤しながらも活動を前に進めた結果、嬉しい報告もできる状況になってきました。ぜひご覧いただけましたら幸いです。


photo by Shutterstock

日本での取り組みと活動の進捗

かものはしプロジェクトの日本事業では、児童虐待を中心とした「子どもを取り巻く不条理」をなくす活動をしています。

子どもたちが心身ともに傷つけられる児童虐待被害が起こらないよう、また被害にあった子ども・若者たちが傷を癒し、安心して生活して自立に向かうことができるようにしようとしています。

事業の取り組みは主に以下の2つです。

①社会の仕組みを変えるための「関係機関の協働・連携」と、

②当事者の声を現場の支援や政策に反映させるための「当事者支援と政策提言」


◆当事者の声を厚生労働大臣に届けることができました!

さて、日本での活動を進めていく中で、とても嬉しい進捗がありましたので、皆さまにお伝えしたいと思います。

日本事業の取り組みの2つ目「当事者支援と政策提言」の活動で関わってきた、

<虐待から逃れた子どもの心のケアの義務化・拡充を求める署名プロジェクト>

に、47,403名の方がご署名くださり、提言書とともに田村厚生労働大臣に手渡しすることができました!


2021年7月19日に田村厚生労働大臣に署名と提言書をお渡ししてきました。写真は田村厚生労働大臣と署名活動の運営メンバーたち。

この署名活動では、下記の2点を求めて活動していました。

・虐待を受けて保護され児童養護施設や里親家庭などで暮らしている子どもたちが、施設や里親家庭にいる間に適切な治療が受けられるようにすること

・児童養護施設や里親家庭を措置解除されたあとでも、必要に応じて十分なケアや治療を受ける機会を無償で提供すること

昨年から働きかけを続けてきた中で、今年度の厚生労働省の予算に【社会的養護経験者のメンタルケア制度の創設】が初めて加えられました!

該当箇所は下記になります。

厚生労働省 令和三年度予算概算要求 P81より

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(3)虐待を受けた子どもなどへの支援の充実 子どもの自立に向けた継続的・包括的な支援体制の構築に向け、 

・ 民間団体等が児童養護施設等に赴き、入所児童に対する相談支援が実施出来る よう補助を拡充するほか、医療機関等との連携に必要な経費の支援や退所者の法 律相談に対応するための補助の創設等を行う。

 ・ 児童養護施設等の退所者に対して、入院時の身元保証に対する補助を創設する とともに、保証人の範囲の拡大や同一の保証人から複数の保証を受けられるよう にするなどの運用改善を行う。

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当事者の若者たちの声から始まったこの活動が実を結び、大臣への署名・提言書の提出まで持っていくことができ、予算の拡充も実施され、児童福祉の取り組みを一歩前に進めることができました。

当日の様子をまとめた記事がこちらになります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000083554.html?fbclid=IwAR3JlunGc6Re7rL9f_WjNQp62zH9QGH7oSxdqqAFloJnRp6OSCRafhA2mk0


◆「虐待は保護されて終わりじゃない」

そもそも、なぜこういった活動に参加したのかをお伝えしたいと思います。

児童養護施設などを出た若者たちが、就職したり、進学をする中で、過去の傷つきから人間関係につまずき、精神的に参ってしまい、治療が必要な状況になることがあります。

起き上がることができなかったり、家から出られない程の症状になると、通学や通勤できなくなり、奨学金が打ち切られ退学になったり、休職から戻れないと退職を余儀無くされることもあります。

頼れる実家がない若者は、退学や失業をすることですぐに生活困窮に陥りやすい状況です。

中には、生活費が底をつき、住居を失う若者もいます。

私は、社会的養護を巣立った若者たちが、自分のせいではなく、他の人からひどく傷つけられたことが原因で、保護された後もその影響に苦しめられ、自立後も生活費や食費をぎりぎりまで削ってカウンセリング費用や入院費を自分で出さないといけないのは、ものすごい不条理だと感じました。


photo by Shutterstock

なぜ前を向いて進もうとしている若者が、治療を受けたいと思った必要な時に使える制度がほとんど無いのか。

「虐待は保護されて終わりじゃない」のに、なぜ自立後だと支援が受けられないのかと、激しい憤りを感じていました。

その一方で、過去の傷と向き合い乗り越えようとがんばっている人がいることも知り、若者たちが必要な治療やサポートを受けられるよう、制度を充実させることで応援したいと思い、大臣提出まで邁進してきました。

このプロジェクトは、児童養護施設で生活した当事者としての経験を持つ山本昌子さんが、約1年前に発起人として始めたプロジェクトです。

児童養護施設や里親家庭などを出た若者達の全国交流会を主催されてきた川瀬信一さん、体罰禁止の法改正にご尽力された高祖常子さん、児童養護施設出身者3人でYoutubeにて情報発信をされている THREEFLAGS-希望の狼煙-の西坂來人さんが共同発起人(運営メンバー)として参加されています。

かものはしからも私(村田)と打田の2名が運営メンバーとして参加してきました。

かものはしプロジェクトの6月のメールマガジンでも、この署名のお願いをさせていただき、かものはしの活動を応援して下さっているたくさんの方からご署名いただきました。

ご署名下さった皆さま、本当にありがとうございました。

 

誰もが生まれてきてよかったと思える社会を目指して

日本事業では、他にもこのような活動をしております。


⚫︎当事者支援 〜子どもアドボカシー〜

子どもの声を聴き、子どもの権利を守ることを「子どもアドボカシー」といいます。虐待を受けて児童相談所に保護されている子どもたちや、児童養護施設等にいる子どもたちが、自分の生活や今後について、自分の意見をまとめ、伝えたい人に伝えるお手伝いをする取り組みが、日本でも少しずつ広まっています。

「家には絶対に帰りたくない!帰ったらお父さんに殴られる」

「大学に進学して福祉を勉強して、将来は子どもたちのために働きたい。だから進学したい!」

こういった子どもたちの声を、届けたい人に届けるお手伝いをします。

子どもたちには、こういった自分の意見を伝える権利(意見形成・意見表明権)があるのですが、子ども本人の意見が聴かれずに今後の行先を決定されたり、子ども自身の生活に関する相談をしても聴かれないことがあります。

子どもたちが自分の権利を行使するお手伝いする「子どもアドボケイト」という大人が、養成され施設などに派遣される必要があります。

一般社団法人子どもの声からはじめようという団体が東京でアドボケイトの養成と派遣を行っているので、より多くの子どもたちが子どもアドボケイトの制度を使えるように、こちらの団体の活動をお手伝いしています。


⚫︎当事者支援 〜若者緊急支援〜

児童養護施設などを出た若者たちの中には、コロナの影響で仕事を失ったり、減収している人たちがいます。若者たちの生活を支えるため、食料送付や現金給付などの緊急支援を行いました。

今後も形を変えて実施をする予定です。


⚫︎仕組みを作る 〜関係機関の協働・連携事業〜

地域にたくさんの思いを持った人がいて、それぞれ活動をしていても、実は他のセクターで誰が何をしているのかお互いに知らず、支援の網の目からこぼれ落ちてしまう子どもたちがいます。

関係機関の協働・連携事業を行うことで、情報共有や連携を行い、子どもたちを重層的にサポートし、支援の網の目を細かくすることで、支援の網の目からこぼれ落ちる子どもを減らそうとしています。

まずは全国の6地域で、先駆的な取り組みを支援し、成功したら同様の他地域にも広げられるよう、3年間かけて取り組んでいきます。

自治体任せにするのではなく、もっと市民の力を活かし、地域みんなで子どもを支えられるように、民間リーダー主体での連携を行っていきます。

 

かものはしプロジェクトは日本での活動を通じて、「誰もが生まれてきて良かった」と思える社会を目指していきます。

日本での活動はまだ始まったばかりで、今年度は試行錯誤を繰り返しながら今後の中長期戦略を作って参ります。

皆さまに良いご報告や、活動からの学びをお伝えできるよう、これからも邁進していきます。

今後も活動を応援していただけますよう、よろしくお願い致します。

 

参考:仕組みを作る 関係機関の協働・連携事業活動についてのWEBサイトです。この助成事業はNPO法人とETIC.と共に行っています。

子どもの未来のための協働促進助成事業

https://kyuminyokin.etic.or.jp/

 

村田 早耶香Sayaka Murata

創業者

大学在学中に子どもが売られる問題を知り、実際に問題が起きていた東南アジアの現場での深刻な現状を見て、最初は一人で出来ることから取組みを開始。20歳の時に共同創業者の本木・青木と出会い、かものはしプロジェクトを創業。以来、この問題の解決のために活動を続けている。

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