【総会レポート】3時間の舞台裏にあった「届けたい」願い、「伝えたい」思い
date2025.8.1
writer福井 邦晃
今年も年次総会を実施しました!
6月28日(土)に、年に一度のかものはし年次総会を開催いたしました!今年も対面とオンラインの同時開催で、総勢103名の方々にご参加いただきました。ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。

2024年ハイライト〜2025年度に向けて
冒頭の事務局長 小畠からの挨拶では、2024年度のかものはしを4つのキーワードで総括させていただきました。
①終わり
2012年からスタートし、皆さまと共に育んできたインド事業を2027年3月をもって正式に終了する決断をしました。これまでの活動で育まれた「社会を変える当事者としてのリーダーシップ」を信じて、パートナー団体やサバイバーたち、そして新たに立ち上がった団体「Torii」に、事業のバトンを託すことが、インドでの長期的な問題解決に向けた最善の選択だと考え、今回の決断に至りました。
②始まり
アフターケア事業が本格化してきました。「アフターケア」とは、社会的養護のもとで育ち、一般的に18歳で施設を退所していく若者たちに対して、退所後の生活を支えることをいいます。全国各地で、若者に寄り添いサポートをしている事業所を支えるための活動が、全国ネットワーク「えんじゅ」の事務局として本格的にスタートしてきました。
また、新規の活動についても新たな動きがスタートしています。インド・カンボジアに続く第3国での活動の調査を開始しています。
③葛藤
妊産婦支援事業で開始した居場所事業「ふたやすみ」が2年目を迎えました。当初は妊娠期から産後1年を対象期間と想定していましたが、上の子の進学準備の困難さ、夫婦間のトラブル、難民背景を持つ家庭など、産前産後では区切りがたい課題と向き合うことになりました。どこまで支援を広げるべきか。一人ひとりへの思いが強まるほど、答えのないこの問いは深まります。
④前進
ソーシャルコミュニケーション事業部では、今年度も全国活動報告ツアーを実施しました。他団体との協業でかものはしの課題を多面的に伝えたり、当事者やその周囲の人になりきる寸劇ワークショップや参加者同士の対話の時間をもち、ともに考えを深める場をつくりました。そこで見えてきたこととして、「NPOとしてかものはしが為すべきことはなにか」、「市民社会に対してかものはしとして何ができるのか」といったことを考えさせてもらう時間となりました。道半ばですが、これからも皆さまとの時間を過ごしながら考えていきたいと思っています。
総会担当として
今回の総会を担当した、経営管理部の福井です。2024年度も多くの皆さまに支えられ、活動を続けることができました。かものはしはこの数年で職員数が大きく増え、30人規模の組織になりました。
1日8時間×月20日×年12ヶ月×スタッフ30人で年間57,600時間。この膨大な時間をたった3時間に凝縮してお届けする総会は、「ちゃんとやろう」と思えば思うほど、困難を極めます。
私は2024年12月に入職し、それまで新卒から10年間、関西のNPOで働いていました。かものはしに来て驚いたのは、年次報告書・総会ともに1年の活動を凝縮して、誠実に伝えるために多くの時間が注がれていることでした。
「何を伝えて、何を共有するのか」この問いに全力で、そして誠実に向き合っている団体はそう多くないと思います。そして、その誠実さは当日のスタッフの姿勢にも表れていました。
「もう何回目の総会?」と言いたくなるメンバーでさえ、本番前に 「ちゃんと緊張」していました。(笑)この1年で出会った当事者や支援者の声、その人たちの「願い」に触れてきた日々の積み重ねをきちんと「届けたい」「伝えたい」という思いがあるから生まれるとても人間らしい、あたたかな緊張を感じました。
登壇者一人ひとりの活動内容をしっかりと伝えたいという「願い」が、ご参加くださったサポーター・正会員の皆さんに届き、その瞬間をご一緒できたことが何よりも嬉しかったです。
(総会の第2部に開催した、妊産婦支援事業の居場所「ふたやすみ」の運営メンバーによるパネルディスカッションの様子も、こちらの記事でご紹介しています。ぜひ、ご覧ください。)

writer

福井 邦晃経営管理部
大学卒業後、新卒で教育系NPOに入職しました。子育てを通じて、人材育成の面白さに目覚めました。2024年には、妻の単身赴任をきっかけに、2人のこどもと関西で父子家庭生活をスタートし、家族での2拠点生活を始めました。現在はバックオフィス全般に携わりながら、人と組織の可能性を日々模索しています。