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Feature Report特集レポート

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Report of Cambodia

Story of Srey PharDREAMS
COME TRUE希望を持ち続ければ必ず夢は現実になる
〜スレイパーの卒業ストーリー〜

DREAMS COME TRUE希望を持ち続ければ必ず夢は現実になる
〜スレイパーの卒業ストーリー〜

Report of Cambodia

カンボジア

いつもあたたかいご支援ありがとうございます。
カンボジア事業部の横山です。

今回は、カンボジアから、コミュニティファクトリー卒業生「スレイパー」の
ストーリーを紹介したいと思います。

スレイパーは工房で働いていたときは、
お客さまが来るとコミュニティファクトリーショップの接客を
いつもお手伝いしてくれていて、最近彼女は日本食レストランに就職しました。

私自身、スレイパーの前に進もうとする強い意志と前向きさに、
うるっときてしまいました。

彼女のライフジャーニーをぜひ読んでみてください!

皆さんこんにちは!
わたしの名前はスレイパーです。
わたしは2017年11月にコミュニティファクトリーを卒業して
日本食レストラン 「SushixBar 心-SHIN-」に就職しました。

もともと住んでいた村を出てシェムリアップ市内で暮らしています。

わたしにはシェフになるという夢があります。
今はその夢に向かって進んでいます!

Story of Srey Phar

未来なんて考えることもなく、
家族の生活を支えるのに必死だった

わたしはカンボジアの小さな農村で育ちました。
2人の兄弟と6人の姉妹がいる中で、教育の機会を得ることができたのは、
兄と弟だけでした。

女の子であるわたしたち姉妹は、家計が厳しく
家の手伝いをしなければならなかったので、
小学校を中退せざるを得ませんでした。

わたしが23歳のとき父が亡くなり、
家族は経済的にとても苦しい状況に陥ってしまいました。
わたしは自分の人生がよりよい方向に変わっていくとか、
未来のために努力しようとか、新しい人や物事に出会うとか、
そういうことを考える余裕もなく、ただ日々の生活を送るのに精一杯でした。

でもコミュニティファクトリーで働いたことで、
自分の価値や可能性に気づき、
自分自身の尊厳を大切にすることを学んだのです。

コミュニティファクトリーで学んだ、
人生を諦めないということ

コミュニティファクトリーに入って、縫製チームで仕事をすることになりました。
ファクトリーでは安定した収入を得られるようになっただけでなく、
ものづくりに真剣に取り組むたくさんの仲間たちと働くことができ、
彼女たちは私の二番目の家族になりました。

わたしは自分が作った『い草商品』をお客さまに届けることにも興味があったので、
慣れない商品IDやパソコンの使い方を一生懸命覚えて、
コミュニティファクトリーに訪問するお客さまに
『い草商品』を販売する仕事もしていました。

自分が作った商品を目の前でお客さまが手に取ってくださる姿を見ると、
とてもやりがいを感じます。

「ありがとう」「また来てね」という、簡単な日本語・英語しか話せませんが、
それでもお客さまと触れ合う時間は、わたしにとって大好きな時間でした。

わたしは小学校を卒業できませんでしたが、コミュニティファクトリーを通して、
働く楽しさや、新しい人と出会い関係を築いていくことの喜び、
プロ意識をもって働くことで身につく自信、
未来について考えることのワクワクなど、さまざまな学びを得ることができました。

そしてある日、社会科見学でシェムリアップにあるホテルや
レストランなどを見て回ったときに、変化が起こりました。
わたしは初めて「自分の夢」というのを抱いたのです。

「シェフになりたい。」

社会科見学から帰ってきたとき、そう思ったことを覚えています。
社会科見学でレストランで生き生きと働いている人たちを見て、
憧れをもち自分もそうなりたいと思いました。

わたしが、自分の人生を変えることができると感じたのは初めてのことでした。

シェフになる夢を実現するために、まず、
ファクトリーで給食を作ってくれるスタッフを手伝うことから始めました。
同時にファクトリーのトレーナーとキャリアカウンセリングを重ね、
レストランで働く機会をつかめるように努力しました。

しかし、物事はそんなに簡単ではありませんでした。
母はわたしが家族と離れて都市で働くことに難色を示しただけでなく、
重い病気にもかかってしまったのです。

それでもわたしは希望を持ち続けました。
なぜなら諦めないことが何よりも大事だとよくわかっていたから。

幸いにも母は強い精神力で病気から回復し、
さらに大きな心の変化をももたらされました。
回復した母は私にこう言いました。

「シェフになるチャンスをつかんで頑張りなさい。
わたしたちはお互いにもっと強くなって自立していかないといけないわ。」

母がそれを言葉にするのにどれくらいの勇気が必要なのかよくわかったので、
その言葉を聞いて、わたしは涙が止まりませんでした。

日本食レストランで元気に働くスレイパー(中央)

人生で初めて抱いた夢を
かなえるために

それでも、わたしにとって家族と離れて都会で暮らすのは
生まれてはじめての経験です。

最初の数日は、家族とコミュニティファクトリーの仲間が恋しくて、
ベッドで泣いてしまいました。
けれども同時に、新しいことを毎日学んでいることにとても満足しています。
何年も夢みてきたことが現実になったのは本当に嬉しいです。

私の最初のミッションは、これまでに学んだことのない
英語と日本語のメニューとレシピをすべて覚えることです。
これは日本語はおろか英語もほとんど話せないわたしにとって大きなチャレンジです。日本人のシェフは、分かりやすいように簡単な図を書いたりして、
根気強く教えてくれます。

シェフは、私の学びや成長に対するモチベーションを高く評価してくれていて、
その期待に応えられるようにもっと頑張りたいと思っています。

今、少しずつですが夢だったシェフの仕事に近づいています。
タコヤキ、ざるそば、寿司が作れるようになりました!

SushixBar 心-SHIN- へようこそ!
私が作った日本食をぜひ楽しんでください!

Story of Srey Phar

自分の夢に向けて、まっすぐに進むスレイパーのストーリー、
いかがでしたか?彼女たちの前向きなエネルギーから、
私たちが学ぶこと、励まされることは、本当にたくさんあります。

2018年4月には、カンボジア事業部はかものはしから独立し、
NPO法人SUSUとして、コミュニティファクトリーからスレイパーのような女性を
一人でも多く輩出することを目指して、活動を続けていきます。
SALASUSU JOURNALでは、スレイパーのような女性のストーリーを始め、
現地の様子など、様々な情報をお伝えしていきます!ぜひご覧ください!

横山 優里Yuri Yokoyama

2013年、かものはしプロジェクト参画、カンボジアへ。 新ブランドSALASUSUの立上げを担当し、現在はブランドマネジャーとしてSALASUSUの販売や広報を統括。

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