子どもが売られない世界を作るため、寄付・募金・ボランティアの協力によりカンボジア・インドをメインに活動する国際NGO

2013年10月10日

レスキューファンデーションの活動から見えてくるインド人身売買の実態

かものはしは、2012年4月からインドのムンバイに本部を持つ
現地NGO「レスキューファンデーション」を支援しています。

今回は、レスキューファンデーションの活動と、
彼らのこの3年間のデータから読み取れる、
インドの人身売買の昨今のトレンドについてご報告いたします。


レスキューファンデーションは
その名の通り、売春宿や性的搾取の場所から、
少女や女性たちを助け出す(=レスキューする)
ことをミッションとした現地のNGOです。

年間300人ほどの少女・女性たちをレスキューし、
ムンバイ市内及び近郊で3つのシェルター(保護施設)を有し、
レスキューした女性たちの保護、リハビリを行っています。


レスキューファンデーションには、
売春宿の情報収集や売春宿の中の
どこに人身売買被害者がいるかをつきとめる
「情報提供者」がいます。

その情報を元に、「インベスティゲーター(調査人)」
売春宿に潜入し、被害者がレスキューされたいか否かの意思を
確認します。

これを「売春宿カウンセリング」といい、
「レスキューされたい」意思を確認できた場合、
レスキューファンデーションは
警察と一緒にその少女たちのレスキューに向かいます。

なぜ本人の意思を確認するのでしょうか?


それは、売春を生業とする成人女性を誤ってレスキューすると、
それは本人にとって営業妨害となり、人権を侵すおそれがあるからです。

また、女性たちは長年売春を強要され続けた結果、
売春を生業とせざるをえなくなり、
レスキューを求めなくなることがあります。


レスキューファンデーションは、
「レスキューを求める人」をレスキューしているのです。

しかしながら、人身売買被害者の多くは、
売春宿の奥深くに隠されていたりするため、
見つけるのが容易ではありません。

レスキューファンデーションは
2010年から2013年までの間、
1年あたり平均31回のレスキュー活動を行っており、
2012年は37回でした。


表1より、
2010年及び2011年ムンバイでのレスキューが一番多かったにも関わらず、
2012年、2013年と、被害者数は「プネ」から「デリー近郊」に
推移していることがわかります。

すなわち、人身売買被害者が送り込まれている売春宿が
年々変化していることを意味していると思われます。

次はこれを、都市ではなく、売春宿ごとにみてみます。


image001.png


表2は
レスキュー活動を行った回数を売春宿の名前別に表したグラフです。
「Budhwarpeth赤線地帯」はプネにある大型の売春宿地域であり、
「G.B. Road」もデリーにある大型の売春宿地域です。

これらの大型売春宿には
未成年人身売買被害者が多いと考えられ、
2010年、2011年をピークにかなり大掛かりなレスキュー活動が
行われてきました。

しかし、2013年のデータを観てみると、
「G.B. Road」でのレスキューは微増しているものの、
「Budhwarpeth」や「Grant Road」など
ムンバイの大型売春宿でのレスキューは圧倒的に減っており、
その代わりその他の場所でレスキューが増えていることがわかります。

推測ですが、大型売春宿から小型の独立した場所での被害者が
多くなっているのかもしれません。


image003.png
(※2013年のデータ:1月~6月、そのためパーセンテージ表記)


レスキューされている人々の中で、
未成年者が全体に占める割合はどの程度なのでしょうか。

2010年から2013年までのデータを分析したところ、
平均31%であることがわかりました(表3)。

レスキューされたうち、3人に一人は18歳以下の未成年だということです。
これは非常に高い数字です。


image005.png


表4から、年齢分布は11歳から36歳まで多岐にわたり、
全般的に見て16-17歳の未成年が多いといえます。

未成年の被害者数は少ないとはいえ、
11歳の少女が2名、12歳の少女が1名
被害者のなかにいたというのは心をとても痛める事実です。


image007.png


被害者の出身地を調べてみると、これも意外なことが分かります。
国外からの被害者が多い印象をお持ちかもしれませんが、
実際は表5より、インド国内からの被害者が80%を超えています。

国外についてはネパールからの被害者は年々減っており、
反対にバングラディッシュからの被害者は年々増えています。


image011.png


ここ4年間の被害者出身地の推移は表6の通りです。
これを見ると、4年間通じて圧倒的に西ベンガル州出身の被害者が多く、
ついでマハラシュートラ州出身の被害者が多いことが分かります。

2012年に被害者出身地が分からなかった人数が圧倒的に多いのは、
一度に100名を越す大型レスキューが3度も行われたために、
被害者ひとりひとりの出身地まで聞き取ることができなかったためです。


image013.png


かものはしは、これらのデータ分析を現地NGOに還元するだけでなく、
インドの人身売買の実態を世界中の関心のある人たちに、
被害者のプライバシーを厳守しながら発信していきたいと考えています。

なお、今回のデータのデジタル化には
多くのボランティアの方々のお力を、
またデータ分析についてはボランティアの河合さまから
多大なるご尽力いただきました。

この場を借りて、お礼申し上げます。


次回のブログは、そんな被害者をたくさん出している
西ベンガル州の地区で活動をしている
「GGBK」(かものはしはこの団体の活動を支援しています)
から届いたデータを分析したものを、ご報告します。


清水写真.jpgライター紹介:清水友美
インド事業部シニアプログラムマネージャー。2年間のインド駐在を経て、2013年7月からかものはし東京事務所勤務。大学院卒業後、国際機関や人道支援機関で開発援助事業に携わる。

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