子どもが売られない世界を作るため、寄付・募金・ボランティアの協力によりカンボジア・インドをメインに活動する国際NGO

2013年10月22日

【前編】被害者の少女たちの心の傷を癒すスペシャリスト団体「コルカタ・シャンブド」

「子どもが売られてしまう問題」
その問題解決に向けてのインドでの活動は、
現地のNGOと協力して行っている。

今回は、僕が活動にイノベーションをものすごく感じ、
かものはしのパートナー団体である
「Kolkata Sanved(コルカタ・シャンブド)」
(以下、シャンブドと呼ぶ)を紹介する。
いつも僕は、この団体の活動にわくわくしている。


シャンブドは、人身売買被害にあった少女たちの心の傷を癒し、
そして、社会で自分の力で人生を歩んでいくための術を
少女たちに学んでもらうスペシャリスト団体だ。
コルカタシャンブド2.png※シャンブドのスタッフたち


売春宿の中で何年も閉じ込められ、
自分の意思に反して身体を売らされてきた被害者の少女たちの
心の傷は、とても深く、癒えるにはとても時間がかかる。

救出されたのちに、安全な保護施設に滞在し、安全な環境と食事があって
カウンセリングを受けても、心が癒え回復するのはとても難しい。


ある女の子は、自分の経験をこう話す。

「私の人生をめちゃくちゃにされたあの男のことを思い出すと、
怒りがこみ上げてくる。
怒りが後から後からこみあげてくる。
怒りが私の身体中を支配して、どうすることもできなくなり、
周りの人たちにぶつけた。
本当はそんなことはしたくないのに。

でも止めることができない。

本当は友だちが欲しいのに悪口をいってしまう。
自分は孤独だ。
怒りがとまらない自分。
周りを傷つけてしまう自分。
誰も信じる事ができない。
自分を信じることも出来ない。

自分が怖い。」


物理的な意味での牢獄から救出されても、
精神的な意味では、少女たちはまだ心の牢獄にいるのかもしれない。

こうした状況から、少女たちを助け出し、回復する力を提供するのが
「コルカタ・シャンブド」だ。
僕らには、想像しがたいほど深い深い心の傷を癒すチームなのだ。


代表はソヒニさん。
1996年に人身売買の問題を知り、保護施設で活動をしていた。
2004年にその経験を活かし、
心の傷を癒すプログラムを提供する団体を立ち上げた。

スタッフは現在10数名。そのうちの半数が、人身売買の被害者、
元ストリートチルドレンなどで構成されている面白い組織だ。


では、具体的にどのようにして、少女たちの心の傷を癒すのか。

そのためのシャンブドのアプローチは、
とても革新的で、とてもユニークだ。
ユニークすぎて僕自身、当初は理解に苦しんだ。

代表のソヒニさんが言っている理論について「???」という状態だった。
何度も話を聞き、またプログラムを見学したり参加することで、
少しずつ理解していった。
今では、シャンブドの大ファンだ。

そして、今はそのユニークさや活動のインパクトを
どう他の人に説明したらよいか、苦しんでいる。
そこで、みなさんにこのユニークさを共有したいと思い、
シャンブドの紹介の記事を今書いているのだけど、とても難しい。


そこで、まずはシャンブドの紹介ビデオを見てもらいたい。
(※1分4秒ぐらいから、プログラムの風景が流れる。)
コルカタシャンブド紹介映像


一見すると、踊ったり身体を動かしたり楽しそうにしているだけで、
心の傷を癒すリハビリテーションプログラムには
見えないかもしれない。

心の傷を癒すと言ったら、カウンセラーが被害者の話を聞いて・・・
というのを想像すると思うのだけど、
シャンブドはそれとは異なるアプローチをとる。

シャンブドは、心の傷を癒し、心を強くするために、
まず「身体」にアプローチする。

それは、なぜか。


シャンブドのアプローチは、
「身体と心が深く結びついていることに注目し、身体に働きかけることで、
心の傷を癒し回復させていく」
ということだ。

誤解をおそれずに、単純化して言うと、
ストレス発散のために汗をかくということと同じだ。
気分が落ち込んでいたりストレスを抱えているとき、
ジョギングをしたり運動をすることで気分が爽快になることがあると思う。


人身売買の被害者は男たちに暴力を振るわれる。
そして、何人もの男が彼女たちの身体を自由にもて遊び、乱暴をする。

彼女たちは身体を支配される。
身体はだんだんと自分のものではなくなっていく。
身体が汚れていくことで、魂がけがされると思ってしまう。
身体が自分のものでなくなっていくことで、自分の存在がなくなっていく。

スクリーンショット 2013-10-15 12.39.00.png※売春宿の女性たち。写真はイメージです。


だから、心の傷を癒す上で大事なのは「身体」

「身体」を自由に動かすことを通じて、
自分の身体は自分のものであるという当たり前のことを知る。
そうすることで、自分が自分であることを認識し、自分を取り戻していく。

こうしたコンセプト(シャンブドが最も大事にしている「身体」)を
もとに、心の傷を癒すプログラムが一つ一つ詳細に設計されている。

心の傷を癒すだけではなく、他人とどう関係をつくっていくのか、
自分の感情とどう付き合っていくのか、といった様々な
生きていくために必要なことを、プログラムを通じて学ぶことができる。


上記の映像で出ているのは、「楽しむこと」を重視したプログラムだ。

身体を動かすことは楽しい。
踊って楽しむことで身体にエネルギーが満たされ元気になる。
一緒に身体を動かした友だちとはもっと仲良くなれる。

そんなシンプルな効果があるのだ。


次回の記事は、今回ご紹介したものとは別の
「恐怖のプログラム」というものを紹介する。

これもまた興味深く、とてもユニークなプログラムだ。

※後編はこちらから。


スクリーンショット 2013-10-15 14.07.24.pngライター紹介:本木 恵介
かものはし共同代表の一人。東京大学在学中に、かものはしプロジェクトを村田、青木と共に設立。2013年6月より本格的にインドのムンバイへ移住し、駐在中。

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