子どもが売られない世界を作るため、寄付・募金・ボランティアの協力によりカンボジア・インドをメインに活動する国際NGO

2012年04月30日

カンボジア内務省が行う警察訓練支援(LEAP)議長のソカー内務省長官との会見


子どもたちが買われてしまうことを未然に防ぎ、自由を奪われた子どもたちを助けるためには、カンボジア警察の力が必要だ。一人一人の警察官の能力を伸ばし、組織としての警察力を強化することは、児童買春撲滅に向けて欠かせない。そのため、かものはしプロジェクトでは、2009年から、カンボジア内務省が行う警察訓練支援プロジェクト「LEAP」の支援を進めている。4月3日、共同代表の本木恵介が、かものはしプロジェクトが進むべき方向性について、LEAPのトップを務めるプルムソカー閣下と話し合った。


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■会見の概要

(本木)カンボジアで児童買春を撲滅するためには、今、何をすべきでしょうか?

(プルムソカー閣下)最も大切なことは、児童買春の現場を取り締まる、能力の高い警察官を増やすことだ。現在、多くの警察官が取り締まりにあたっているが、彼らをトレーニングして児童買春や人身売買に関わる人たちを確実に逮捕できるようにすることは、最も効果的だと考えている。
 カンボジア内務省はこれまで、かものはしプロジェクトやUNICEFなどの国際機関と協力し、LEAPの前身にあたる警察トレーニングプロジェクト「LEASETC」を進めてきた。LEASETCは、投じられた資金は決して大きいものではなかったが、効果は大きかった。一方、他の省庁による大きな予算をかけた取り組みは、満足できる成果が得られないこともあった。これらから言えることは、単純に予算の問題ではなく、有効な取り組みに力を集中させることが重要である、ということだ。

(本)かものはしによるLEAP支援は、3年目に入りました。これまでの活動をどうみていますか?

(閣下)かものはしプロジェクトは、ほかの国際機関とは異なり、現場できめ細かいサポートをしてくれるので、大変頼りになった。必要なことがあると、すぐに動いてくれるので心強い。今後の取り組みにも、大いに期待している。

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(本)警察訓練支援に加えて、かものはしに期待することはなんでしょうか?

(閣下)日本では、交番がきめ細かく配置されているが、素晴らしい仕組みだと思う。カンボジアでも、交番のような組織をコミュニティ単位で設けることが望ましい。日本の事例を紹介してもらえると、大変参考になるだろう。ただし、カンボジアで似たような仕組みを導入する場合は、法律で位置づけを明確に定めておくことが必要だろう。
 2年ほど前から、村落安全施策(Commune and village safety policy)を導入している。この仕組みの根底にある考え方は、人身売買根絶を草の根レベルで推進することだ。村でレイプが起こった場合、昔は、公にせずにお金や村長による介入などで解決することが少なくなかった。こうしたことをうやむやに処理していては、いつまでたっても事件は減らない。法律に基づいた手続きに従って厳格に処罰することで、事件の発生そのものを減らすことができる。最近は、事件として処理されることが増えており、人々の意識が変わり始めていることを感じる。人身売買根絶に向けて、こうした地道な活動を、並行して進めなければならないだろう。

(本)ほかの機関との連携も、重要な課題だと考えています。調整が必要な局面で、閣下の力をお借りすることがあるかもしれません。

(閣下)UNODC(国連薬物犯罪事務所)をはじめとする、さまざまな国際機関と調整すべき場面があれば、私が間に入って橋渡しの役割を果たせると思う。全力でサポートするつもりだ。UNODCは、LEAPへの参画に前向きだ。具体的な協力内容について、協議を進めている。また、カンボジア政府内で調整が必要なことがあれば、私に相談してもらいたい。力を合わせれば、必ずや成果が得られると信じている。

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■会見を終えて(本木)

カンボジアで、子どもが売られてしまう問題を解決するためには、カンボジアの人たちが主体となって行うことがとても大事です。今回の会見を通じて、政府の要職にあるプルムソカー閣下が、このプロジェクトにかける決意の強さを改めて感じました。閣下は、現場に密着して活動するかものはしの姿勢を、高く評価して下さいました。取り組みを進めていく上で、大きな自信になりました。
 カンボジア政府が単独で、すべての地域を管理することは容易ではないでしょう。そこで、かものはしとしては、閣下と現場を結びつけるための、人づくりや仕組みづくりに力を尽くしたいと思います。具体的には、まず、各州警察の人身売買対策部署(Anti-human trafficking Unit)の能力や州ごとの犯罪状況を、内務省が適切に把握し、全体をコントロールできるような仕組みを構築したいと考えています。
 こうしたプロジェクトは地道な活動ですが、閣下が指摘されたように、非常に有効な手法です。目に見える成果がすぐに得られるわけではないかもしれません。しかし、長い目でみた場合、カンボジアが「子どもが売られない国」になるためには、必ず成し遂げなければならないことです。さまざまな課題を抱えるカンボジアが、すべてを自らの手で行うことは難しい状況です。そのため、日本の皆さんのサポートが必要です。カンボジアの子どもたちの未来のために、ぜひ力を貸して頂きたいと思います。

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※プルムソカー閣下:LEAP議長を務める、カンボジア内務省長官。青少年期に、カンボジアが内戦状態だったため、大学で勉強する夢を断念せざるを得なかったという。大変厳しい時代を生きた経験から、平和に対する強い思いを持ち、子どもたちの未来のためにさまざまな面で尽力している。内務省長官になる前から、人身売買問題に熱心に取り組んでいる。


(取材:本木恵介 / 編集:服部牧夫)
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